天使くん、その羽は使えません (短)
「はい、言いました……けど?」


頭をコテンと倒しながら聞く。そんな私を見て、お兄さんは、また「ふ」と短く笑った。

そして――


「愚かな。この愚弟のどこが”完璧”というのだ。正天使にもなりきれない愚弟に”完璧”などという言葉は、ほど遠い」

「ッ!!」

「せい、てんし……?」


正天使――お兄さんが、その言葉を口にした途端。天翔くんは、眉間のシワを深めた。そんな天翔くんを見て、今度はお兄さんも不機嫌な顔を浮かべる。


「正天使こそ、完璧な天使。神様から認められた天使の事だ。一方、この愚弟は準天使。天使見習い、とでも言えば伝わるか?」

「天使、見習い……」


私が言葉を反復した時。お兄さんは目を細めて、楽しそうにニヤリと笑った。


「ふ、ふふ、ふはは!ピッタリな言葉だな。天使にもなれず、人間にも戻れず。半端なまま下界をさ迷う気分はどうだ、弟よ?先日のネコの件。アレも、しかと見ていたぞ」
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