天使くん、その羽は使えません (短)
「天翔くん、ごめんね。私……天翔くんの方が、お兄さんよりもスゴク天使らしいって。いま本当に、そう思うよ」

「は、はぁ?」


もう黙っていられない。だって、お兄さんが何を言おうと、どんなに天使らしい事をしようと――私の中の「天使」は、天翔くん、一人だけだもん!


「私が思う”完璧な天使は天翔くん”って、そう言ってるの!」

「ッ!」


天翔くんが驚いた顔をした。わぁ、かなりレアだ!と、喜びたいところだけど。

私の言葉を聞いていたお兄さんが、大人しく言われたままでいるはずがない。滑り台のてっぺんから、自身の翼を羽ばたかせて、一気に私たちの元へ飛んできた。

バサッ


「ぅわ!ぶ、!?」

「晴衣!!」


目をつむって、両手で顔をガードする。すると、私の体を、柔らかい羽が何度も当たった。何度も、何度も。柔らかくて、気持ちがいいくらい。


(ん?”気持ちがいい”っておかしくない!?)

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