天使くん、その羽は使えません (短)
「本当、天翔くんが元気になってくれて良かったよ」
「今日からまた、晴衣をどんどん鍛えるからね」
(あ、また名前で呼んでくれた)
あの日以来、天翔くんは私の事を名前で呼んでくれるようになった。無表情は相変わらずだけど。
私を名前で呼ぶことには、抵抗ないのかな?何度も呼んでくれるし。だとしたら……距離が縮まったみたいで嬉しいな!
「ねぇ天翔くん、笑ってみて?」
「……やだ」
(やだって、ちょっと可愛い)
ふふ、と笑っていると、天翔くんが「ポケットから何か出てるよ」と私のズボンを指さした。
え?何か入ってる?触ると、それは紙だった。あぁ、そうだった!