天使くん、その羽は使えません (短)
「っ……」


怒った私に、少しだけ驚く天翔くん。自分のした事を「間違いだった」と分かっているような、気まずそうな顔をしている。


「大きな試合はね、数が少ないんだよ。年に数回しか開かれないの。だから、いくら勝率が低かろうが、私は挑戦したい。だって、絶好のチャンスじゃん!

前回よりも一点でも多く点が取れたら、それでいいの。その経験が、次の試合への自信になるでしょ?

負ける事は、ダメな事じゃないよ。試合は、自分の実力を確かめる良いチャンスなの。私は絶対に、出場するからね?」

「……どうしても?」

「どうしても!」

「……」

「……」


二人のにらみ合いが続いた時。天翔くんが「はぁ」とため息をついた。


「うん。俺が間違ってた。ごめん」

「ううん。私こそ熱くなってごめんね」


素直すぎるくらい素直に謝ってくれるから、力が抜ける。無表情は相変わらずだけど、どこか凹んで見えた。

にしても、天翔くんは、どうしてあんな事を言ったんだろう。
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