天使くん、その羽は使えません (短)
天使くんとシャトル
キュッと音を鳴らし、体育館の床を踏みしめるシューズ。
パァンと空気を切って、ネットを越えて移動する羽。
そして、
コンッとシャトルのコルクが床に落ち、どちらかの選手に点が入る、その一瞬の時――
「……入った」
体の内側から込み上げる喜びに、選手は全員――身震いするんだ。
「入った!しかも線の上!相手選手のふいをついたコース!ナイススマッシュ!!」
「って、自分で言うかね晴衣」
「ハッ!しまった、つい心の声が出ちゃって……!」
部活中。シングルの練習試合をしていて、私の打ったスマッシュが決まり、一点が入った。
この一点の大きさを、私は知っている。