天使くん、その羽は使えません (短)
「勝手に触らないでほしいんだけど」


少しの風が吹いただけで、ふわりと揺れる羽。それが、あまりに気持ちよさそうで……。ついつい、羽に手を伸ばしちゃった。すみません。


「モフモフ、じゃなくてさ。驚かないの?俺、天使なんだよ?」

「え、あ……それもそうだね。よし。
な、なんで天使がココにいるのー!?」

「……」

「そんな冷めた目で見ないでよー!」


男の子はため息をつきながら、指をパチンと鳴らす。すると、両翼はヒュンッと姿を消した。あれ?無くなっちゃった。


「今の、もう出せないの?」

「出せるけど、出さない。人目につくでしょ」

「あ、そっか」


どうやら羽は、皆にも見えるらしい。だから消したんだね。そりゃそっか、こんな姿を見られたら大変だ。


「ん?でも、どうして私には見せてくれたの?天使って名乗ってくれたし」

「さっき俺が言った事を忘れたの?」
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