天使くん、その羽は使えません (短)
「なんでお礼?」

「いい物を見させてもらったっていう感謝」

「いい物?」


いい物というのは、あなたの笑顔です!

なんて答えた日には、天翔くんにドン引きされるに決まってる。だから「なんでもない」と両手を振って、話をそらした。


「今日もよろしくお願いします!先生!」

「先生じゃない」

「コーチ!」

「違うから」


そうして私たちは、その日も無事に、二人きりの自主練を終えたのだった。


そして大会当日――


体調は万全。
バドの調子もいい。
私自身も、昨日天翔くんの笑顔を見たから、気分がすごく良い!

なおかつ――

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