天使くん、その羽は使えません (短)
「これまでにない勝利日和!!」


玄関を出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。今日は会場が近いから、特別早起きをしなくてもいいから楽だ。

といっても、大会前の最後の朝練がある。だから自転車に乗って、まずは自分の学校の体育館を目指した。


カシャン


「ん?」


いつも乗ってる自転車……のはずなんだけど、一度漕ぐだけで分かる。すごく漕ぎやすい。ペダルを軽く踏める。自転車を漕いでいる感じが、まるでしない。


「これは一体?」

「晴衣、乗り心地はどう?」

「天翔くん!」


不思議に思っていると、天翔くんが玄関からヒョイと顔を出した。どうやら、お見送りをしてくれるみたい。

にしても“ 乗り心地はどう?”って……

あ、まさか!

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