天使くん、その羽は使えません (短)
天使くんの決意








「ラブオールプレイ!」


主審の声がコート中に響く。私は体の力を程よく抜き、ラケットを握る力を、少し強めた。


「よろしくお願いします!」

(天翔くん、待っててね。
絶対に勝ってみせるから!)


と意気込んだ試合だけど……。運の悪いことに、この会場に来たのは初めてだった。

慣れない体育館。
コートを型どる、いつもより細いテープ。
シャトルとラケットの距離感を失う、天井の高さ――

全てが初めてということは、
全てがいつもと違うということだ。

< 57 / 89 >

この作品をシェア

pagetop