天使くん、その羽は使えません (短)
パンッ
「アウト」
(また飛びすぎた!さっきはネットすら超えなかったし!)
大きく遠く飛ばすクリアも、相手のコートギリギリに落とすヘアピンも、今日の私は全然ダメだった。
最初の数点を奪われるのは、場所に慣れるために仕方ない失点――そう思って切り替える。
でも、それに甘えちゃダメ。
だって、場所に慣れないのは、相手だって同じことだから。
パンッ
「イン」
(よし!)
スマッシュが決まり、思わず小さくガッツポーズをする。だって、この劣勢でスマッシュが決まるのは大きい。
このままの勢いで、
絶対、このゲームを取ってみせる!
(といっても15対9。6点差……地味に嫌な点差。でも、ひよっちゃダメ。自信を無くしちゃダメ。絶対、点差を埋めてみせる)
天翔くんのためにも!
そして、私が再びラケットを強く握った時――
天翔くんは、主不在でもぬけの殻となっている私の部屋に、一人で立っていた。
「アウト」
(また飛びすぎた!さっきはネットすら超えなかったし!)
大きく遠く飛ばすクリアも、相手のコートギリギリに落とすヘアピンも、今日の私は全然ダメだった。
最初の数点を奪われるのは、場所に慣れるために仕方ない失点――そう思って切り替える。
でも、それに甘えちゃダメ。
だって、場所に慣れないのは、相手だって同じことだから。
パンッ
「イン」
(よし!)
スマッシュが決まり、思わず小さくガッツポーズをする。だって、この劣勢でスマッシュが決まるのは大きい。
このままの勢いで、
絶対、このゲームを取ってみせる!
(といっても15対9。6点差……地味に嫌な点差。でも、ひよっちゃダメ。自信を無くしちゃダメ。絶対、点差を埋めてみせる)
天翔くんのためにも!
そして、私が再びラケットを強く握った時――
天翔くんは、主不在でもぬけの殻となっている私の部屋に、一人で立っていた。