天使くん、その羽は使えません (短)
パシンッ

サーブが鋭い。それだけで分かる、相手の実力。強者相手に、よくも私は17点とったなって、そう思う。

だけど……天翔くんと自主練を重ねて、私は変わった。「17点もとれたんだから充分だよ」と、自己満足で終わる私じゃなくなった。


(天翔くんとあんなに自主練をやったんだから、もっと点が取れるはず。勝てるはず!)


前の私なら、ここまで前向きになれなかった。天翔くんがいてくれたから、私は今、頑張れるんだよ。


(それに、見てみたいんだよね)


――天翔くん!私、勝ったよ!
――へぇ


すごいじゃん、とか。
おめでとう、とか。
そんな言葉は、いらない。

私はただ、昨日のように――天翔くんの笑った顔を、もう一度、見たいだけ。

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