天使くん、その羽は使えません (短)
(へぇ、って言った後に、ニコッて。どんなに少しでもいいから、笑ってほしいの)


そんな願いが、私を突き動かしている。いくら体が「限界だ」と悲鳴をあげても、足が止まらない。どんなにしんどくても、シャトルに向かってのびていく。


パンッ

「イン」

(よし、1点とった!)


喜んで、思わず一瞬だけ気を抜いてしまう。すると、その隙に……病魔が一気に、私を支配していった。


「ぐ、ゲホッ!」


咳が出た。一回出ると、中々止まらず一気に悪くなる。それがいつものパターン。
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