天使くん、その羽は使えません (短)
「あ、もしかして天界に帰れるようになったの?それで別れの挨拶をしに、わざわざここへ?」

「っ!」


私の質問に、天翔くんは体を揺らして反応した。どうやら正解みたい。


「わ〜良かったね!でも、どうして帰れるようになったの?まさか、あのお兄さんが手を貸してくれたとか?」

「……」

「天翔くん?」


無表情のまま、無言で俯く天翔くん。調子が悪い……ってわけじゃ、なさそうだけど。

「熱があるの?」と、天翔くんのおでこに手を伸ばす。すると彼は、私の手を勢いよく掴んだ。

そして、とんでもない事を口にする――


「決められたルールを守って、天界に帰るよ」

「え?でも」


頭の中で「天界に帰れる条件」を思い出す。天翔くんが言っていたのは、確か……
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