天使くん、その羽は使えません (短)
「ルールだから。天使は、人間の寿命を本人に告げてはいけないんだ。テキトウな嘘を言ってごめん」

「……」


頭が真っ白になった。私は自分の体の弱さをよく知っていて、バドも満足にできなくて、いつも自分にどこか不満があって。

だから天翔くんから「余命半年」って言われた時は「やっぱりね」って思った。こんな体、長持ちするわけないじゃんって。

でも、違ったんだ。


「事故が無ければ、私はずっと生きられるの?」

「そうだよ」

「そっか。本当に、ただ体が弱いだけだったんだ……」


力が抜けて、へにゃりと座ってしまう。すると天翔くんが、私の目の前で片膝をついた。そして一本のシャトルを取り出す。

新品だ。それに、いつもより綺麗に見える。キラキラ光ってるみたい。

思わず見入っていると、天翔くんが私にシャトルを差し出した。


「晴衣にあげる。受け取って」
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