天使くん、その羽は使えません (短)
「ねぇ、天使くん。私にいい物を見せてくれて、ありがとう」

「また“いい物”?」

「うん、とっても!」


天翔くんは私からシャトルを取ろうとする。だけど……私は「お守りにさせて」と、天翔くんお手製のシャトルを引き取った。

その後、天翔くんは姿を消し、再び時間が進み始める。

そして――


「ゲームセット!」

「ありがとうございました……!」


結局、セカンドゲームも21点には届かず、私は負けてしまった。試合があっけなく、幕を閉じていく。


(負けちゃった……)


部活をたくさん頑張った。
自主練も欠かさず行った。
皆から何度も声援を受け、
天翔くんからお守りを貰った。

だけど、勝てなかった。


「晴衣、お疲れ様!すっごくいい試合だった!頑張ったね、晴衣!」

「智恵ちゃん……」

「カッコよかったよ!」

「……〜っ、うん」


勝てなかった。

でもね、それだけじゃないんだよ。
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