天使くん、その羽は使えません (短)
*天翔*
ドン
音がした瞬間。
俺は無意識のうちに、
晴衣に向かって飛んでいた。
*天翔*
晴衣の寿命は、俺の頭の中にある。それは俺だけが知っている極秘情報。それを人間に言うことは、天界ではルール違反だ。
いきなり兄さんに天界を追い出された俺は、ひとまず次の魂を回収するため、該当する人間の元へ向かった。
途中でネコの死体を埋めていると、すごい偶然にも、該当する人間――晴衣と遭遇した。
兄さんとの事があってムシャクシャしていた俺は「余命半年」と、そんな嘘をついた。すると「知ってるよ」と答えが返ってきた。
何が知ってるよ、だ。
違うよ、半年も無いよ。
君はもうすぐ死ぬんだ。