天使くん、その羽は使えません (短)
「お前は天使に向いてない。天使は淡白で、感情を持たないものだ。

それなのにお前は、天使よりも人間に似た感情を持っている。そんな奴が、天界で上手く生きられるものか。

さっさと人間になり、お前に合った生き方をしろ。お前の似合う世界で生きろ。その方が、きっとお前は幸せになれる」

「ッ!」


今わかった。兄さんが何度も俺に「天使失格だ」と言ったのは……俺に天使を止めさせたかったからなんだ。


――人間に近い心を持つお前に、天使の道は開きはしない


兄さんは俺の幸せを思って、ずっと、そう言ってくれていたんだ。


「俺はもう、天使じゃないんだね?」

「そうだ。その証拠に、羽が消えている。
もう天界で腑抜けた愚弟を見ずに済むと思うと、セイセイするわ」
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