失恋タッグ
「変な言い回ししないでよ。
朝比奈君こそ、彼女はいないの?あなただったら選びたい放題でしょ。」


ちょうど、前方が赤信号になり朝比奈君は車を停車させる。


「いませんよ。もしいたら、先輩と二人きりで外出なんてしないです…」


「意外と真面目なのね…」


「意外とって…───もしかして先輩は僕のことを遊び人のように思ってるんですか?」


朝比奈君は心外だなというように深いため息をついた。


「遊び人というか…なんとなく女性と付き合った数は多そうなイメージがあるわ。」

朝比奈君のルックスは俳優と言っても良いほど整ってる。
性格も年の割に大人びて落ち着いてるし、余程の数の女性と付き合ってきたのだろうと想像してしまう。

「残念ながら、先輩の読みは外れです。
僕は遊びの付き合いはしたことありませんし、今まで付き合ってきた女性も学生の頃に1人だけです。その子とは5年ほど交際してましたが、留学で遠距離になってしまい振られてしまいました。」


「えっ…!!振られたのッ」


しかも、なんとなく振られるより、振るイメージが強い。


「はい。遠距離が寂しくて職場の人と浮気してしまったみたいですが…
浮気が本気になってしまったようです。」


信号が青に変わり、朝比奈君は車を再び発進させた。
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