失恋タッグ
「どっちが、先かなんて今となっては関係ないし。
結局、快斗はそれに応じてしまったわけだし..」

例え、沙苗ちゃんが誘惑したとしても、関係を持ってしまったことに変わりはないのだ。

「だけど...」

栞奈は、不服そうに呟くと、泣き出しそうに顔を歪めた。

私は栞奈の気持ちが嬉しくて「私は大丈夫。ありがとう」と
柔らかく目を細めた。

栞奈は私の言葉に複雑そうに頷いた。

「でも、これからどうするの?さすがに、二人と同じ部署ってきつくない?」


「うん...。他の部署に異動願いだそうかな..。でもなぁ」

ちょうど、年度替わりの時期で部署希望のアンケート用紙を
貰っていたところだったのだ。

しかし、私は商品開発部の仕事にやりがいを感じていたし、
こんな恋愛沙汰で浮気された側の私が異動することが、悔しかった。

「私は、柚葉には異動してほしくないけど」

栞奈はいつになくシュンとした態度で呟いた。

「うん。まだ提出日まで少し時間あるし、考えてみる...」

そう言って私はアンケート用紙を手に息を吐いた。
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