失恋タッグ
そして、眠気と戦いながら午前中を乗り切った私は、時計の針が12時になるのを待たずして、席を立った。

「栞奈、お昼は外で食べよう」

快斗が会議から戻ってくる前に、オフィスを離れたかったからだ。

「うん、行く行く。ちょっと待って」

栞奈はガサゴソと机の一番下の引き出しにしまってある財布を取り出している。

私はこの少しの時間さえ、快斗が帰ってこないかと気をもんでしまう。

すると、「北村先輩、すみません」後ろから男性の栞奈を呼ぶ声が聞こえた。

それと、同時にいきなり後ろから私は手首を掴まれたのだ

私はびっくりして振り向くとその声の主は、昨夜、私たちの話に割って入ってきた朝比奈君だった。

朝比奈君は私の手を逃がさないようにしっかりと掴んだまま栞奈に向かって
「秋月先輩を借りて行ってもいいですか?」と笑顔で問いかけた。

栞奈はその母性本能をくすぐる可愛い笑顔で問われて、「どうぞどうぞ」と
顔を縦に振った。

私は「ちょっとッ」と栞奈に文句を言おうと口を開いく。

「じゃ、遠慮なく」

私は朝比奈くんにズルズルと引っ張られるようにして連れ去られてしまった。

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