失恋タッグ
「なんで無理だと言えるのよ?沙苗ちゃんはともかく、快斗は実績だってあるし優秀だわ。」

私の言葉に、先ほどまで飄々としていた朝比奈君がムッと顔をしかめた。

「浮気した男の肩を持つんですか...?」


「別に肩を持ったつもりはないわ。事実を言ったまでよ」

私は、決まりが悪くなって顔を横にそむけながら、コーヒーをすする。

「僕はそうは思いません────今回、商品がヒットしたのも先輩の力が大きいと思っています。
あの見栄えにも味にも工夫を凝らしたあの商品を倉木リーダーが思いつくとは到底思えない。
彼はプレゼン力には長けていますが、見た感じセンスがあるようには思えません...」

私は彼のその辛辣な言葉に、グフッと飲んでいたコーヒーを拭きだした。

しかし、彼の言葉は真に的を得ていた。

今回のヒットした商品も、実はほとんど私が企画開発のアイデアをだしたのだ。
私は元々、甘いものには目がない。各地のケーキ屋や和菓子屋を巡ったり、インスタでバズっているグルメ商品は一通りお取り寄せしたりしているのだ。

快斗はというと、私とは逆に冒険はせずに気に入ったものをずっと食すタイプだ。プライベートでは昔からある定番商品を好んで食べて、新商品に手を出すことはない。

だからこそ、今回の浮気は信じられなかった。
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