失恋タッグ
「それに僕は···───
何より先輩と一緒に仕事をしてみたい...」

未だに迷っている私に向かって、朝比奈君は真っ直ぐな眼差しを向ける。

元営業部のエースの朝比奈くんにそう言われて、嬉しくないはずがない。

「でも、私が承諾したところで、ペア決めは常務以上の役職のものの間で決めることよ。」


「先輩が承諾さえしてくれれば
あとは僕が何とかします」


「何とかするって...あなた一体何者?」


私の問いに、朝比奈君はプハッと吹き出し、
大きな瞳が可愛く弧を描いた。

「僕は、ごく普通のサラリーマンです。
父は公務員、母は専業主婦ですし────
ただ少し人を誑し込むのが上手いだけです。」

まあ、それは頷ける。

私もすでに朝比奈くんの術中にハマってしまったのかもしれない...

彼と一緒に仕事をしてみたいと思い始めていた。

「分かったわ。今回の部署異動は見送ることにする。」


「───···ありがとうございます」

朝比奈くんは少しホッとしたような笑みを浮かべた。

「その代わり、もしペアを組んだら私は他の上司のように甘くはないわよ。
妥協なんて絶対にしないし。残業も覚悟しなさい」


「どうしましょうか···────
楽しみでその日まで眠れそうにないですね」


朝比奈君は冗談交じりに嬉しげに呟いた。
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