失恋タッグ
「柚葉嬢に惚れても無駄だよ」

隣の席から僕の心の内を見透かしたような声が降ってきた。

見ると同期の前澤篤紀がニタニタしながらこちらを見ていた。

「別に惚れたわけじゃない────
見惚れてただけだ...」


「同じじゃん」


篤紀は呆れた口調で言う。


「それより、さっきの無駄って？」


「秋月先輩は···──ほらっ、あの今、先輩と話してる倉木リーダーと付き合ってるから」


僕が再び秋月先輩に視線を移すと、
秋月先輩は爽やかな男性と談笑していた。

イケメンとまではいかないが、優しそうな好青年という感じの男性だ。

時折、男性が秋月先輩に触れているあたり、
かなりの親密具合が見て取れる。

傍から見るとお似合いという言葉がピッタリな二人だ。

「だから、無駄だよ」

篤紀は念を押すようにもう一度言った。

「柚葉嬢は目の保養くらいに留めとかないと...」

僕は男の前で楽しそうに笑う秋月先輩を見つめながら、「分かってるよ」と呟いた。
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