失恋タッグ
「それでお前は秋月くんと組みたいと···なるほどな…。
しかし、お前はそれなりの覚悟を持って言っているのか?」


「覚悟···ですか?」


「優秀な秋月君と入ってきたばかりの新人のお前を無理矢理組ませて、成果がなかったことにでもなれば会社は損害だ。」


「分かってます。必ずヒット商品を作ってみせますよ。初年度の目標売上額は40億です。」

10億売れればそこそこヒットと言われているため、それを大幅に超えた目標額に叔父は「ハハッ、それはまた大きく出たな」と目を細めた。

「分かった···いいだろう。
秋月君と組めるように常務に掛け合ってみよう」


「ありがとうございます」


「但し、ただでとは言わん。」


叔父はニヤリとほくそ笑んだ。何か良からぬことを考えてる時の笑みだ。


「秋月先輩と組ませてくれるなら、何でもしますよ。」


叔父が何を言い出してくるか分からないが、僕は半ばやけくそで承諾する。

「ははッ。なら腹踊りでもしながら、会社の周りを一周でもしてもらおうかな。」

案の定、叔父は滅茶苦茶な要求をしてくる。

僕は専務が正月に毎年お酒を飲んで腹踊りするのを思い出す。

僕が泥酔した専務に一緒に踊ろうと絡まれているのを、叔父は笑って見ているのだ。


「捕まらない程度のものでお願いしますよ。」

そもそも屋外で上半身裸で踊っていたら、警察沙汰だ。

< 59 / 108 >

この作品をシェア

pagetop