失恋タッグ


「それは···─────」


先輩としてどう答えれば良いのか迷っていた。

先程、傷付けてしまった手前、下手なことを言えない。

朝比奈くんはじっとこちらを見つめたまま、私の反応を楽しむかのように口の端が微笑んでいる。


「先輩も僕のことを恋愛対象に見れるってことですよね···?」


言い淀む私を、朝比奈くんはじわりじわりと追い込むように問いかけてくる。
 
なんだか、話の矛先が変な方向に向かっているような気がする。


「れ、恋愛対象かどうかは別として
朝比奈くんの仕事に対する姿勢には
一目置いてたし、一緒に仕事をしてみたいとは思ってたわ」


私は、言葉を選びながら自分の思っていることを伝える。

しかし、朝比奈君はなんとなく納得していないような複雑な表情を浮かべている。


「先輩はずるいですよね...」


そう言って、落胆したように大きく息を吐いた。


「まあ、いいです。
打ち合わせを始めましょうか」


朝比奈くんは持ってきたノートパソコンを
開き始めた。

私はようやくホッと息をついた。
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