失恋タッグ
「私は大人の女性なんかじゃないわ……───」

昔から新商品や限定品には目がなくてついつい無駄遣いしちゃうし、快斗と付き合ってたときはすぐに拗ねて快斗を困らせてた。

一人でプラッと食べ歩きに出ることはあっても、本当の一人は苦手だし───。

快斗と別れてから、一人の時間が増えて特にそう思う……。

一人は寂しくてたまらない···。


「僕は、子供みたいだからいけないとは言ってないですよ……
ただ可愛いなと思っただけです……」


不貞腐れた私に向かって、朝比奈君がなだめるように口を開いた。


「いいわよ。別に言い訳しなくても、どうせ私は子供っぽいわよ……───」


朝比奈くんが気を遣って言ってくれているというのに、素直にありがとうと言えない私はやはり子どもだ。


これではどっちが先輩か分からない……


「困りましたね。先輩のご機嫌を損ねてしまいました……」


困ったと言う割には、朝比奈君はとても楽しそうだ。


「別に怒ってるわけじゃないから、気にしないで。
お目当ての物も、買ったことだし帰りましょう。」


これ以上、朝比奈君と一緒にいたら、何だか自分がどんどん子どもみたいに思えてくる。


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