失恋タッグ
「それは却下ですね……
僕はこれから一日かけて先輩の機嫌を取り戻さなくてはいけません」


朝比奈君はそう言うと、車を発進させた。


「どこに行くつもり……?」



「折角、遠出したんです。もっと食べ歩きしましょう。勿論、あとは僕の奢りです。」



「後輩に奢らせられないわ……」



「先程、和菓子屋では先輩を立てたんですから。 今度は男の僕を立たせる番ですよ」



「分かったわ。沢山食べてやるから覚悟しなさいよ。」


もう自棄だ。今日は思う存分食べてやるっ。


「望むところです」


ハンドルを握ったまま、フッと笑みを零す朝比奈くんに私もつられて笑顔になった。



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