イケメンくんは地味子に夢中
「お前、RINだろ」

「えっとー……なんのことですか?わたしは凜花ですけど……」

「ちげーよ。元アイドルのRINだって言ってんの。島田凜花だってことは知ってる」



え……、なんで気づいてるの?

ここは人違いで突き通すしか……。



「ひっ人違いですっ」



焦りに焦りまくって早口でそう言うと、わたしは急いで部屋に駆け込んだ。



「え……なんでバレてるの……?」



この格好じゃ誰も気づかないと思ってたのに……。

髪色も髪型も違うし。カラコンもしてるから目の色も違う。

RINの要素が唯一残っているとすれば……声?

でも声でなんてよっぽど熱狂的なファンじゃないと気づかないよね……?

成瀬くんは会場で一度も見かけたことないし……、あれかな。

現場に行かないタイプの熱狂的なファン?

にしても……。



「なんで気づいたの……?」



お部屋も席も隣だなんて、気まずすぎるよ……。

そのまま部屋の中を見渡すと、目に入ったのは菓子折り。

どうしよう、これ。

持っていかないのも失礼だけど会うのは気まずいし……。

< 31 / 108 >

この作品をシェア

pagetop