イケメンくんは地味子に夢中
しかたない。ここは知らないふりして。

こうなってしまった以上、とことん人違いで突き通すしかない。

今でこそRINのときに培った演技力を生かすとき……!



「よし、行こう」



部屋を出て成瀬くんの住む隣のお部屋へ。


ピンポーン


成瀬くんが出ない間のこの時間がとても長く感じる。

早く出てくれないかな……。



『はい』

「昨日引っ越してきた島田です。ご挨拶に来ました」



大丈夫、わたしならやれる。



「島田サン、何の用?」

「引っ越しのご挨拶に……。あ、これつまらないものですが……」

「どーも」



成瀬くんに菓子折りだけ渡してそのまま帰るのも失礼かな、と思い、もう一度お礼をする。



「今日迷子になってたの助けてくれてありがとう」

「いーえ。でさ、なんでRINがここにいるわけ」

「いや、えっと。だから人ちが、」

「間違えるわけねーじゃん」



あ、もうこれどう頑張っても無理だ。

なんで成瀬くんはここまで断言できるの……?



「RINなのは最初っから知ってんの。誤魔化したって無駄な」

「……はい」

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