イケメンくんは地味子に夢中
「見た目こそ全然違うけど、声でわかるだろ」

「そうかな?」

「ここまでの美声の持ち主なんてRINしかいないだろ、普通に」



美声……?

誰が……?わたしが……?

え?



「美声……?」

「いや、この話の流れ的に島田サンしかいないでしょ」

「えー……」



わたしが美声だったら世の中の人だいたい美声じゃん!!



「あれだけ人気だったのに芸能界に1ミリも染まってないのな、凜花は」

「え?なんか言った?」

「いや、なにも」

「引き止めて悪かったな、そろそろ帰りな。明日も学校なんだし。女子は支度に時間かかるんだろ、あんまりよく知らねーけど」

「あははっお気遣いどうもありがとう!じゃあわたし帰るね」

「また明日」

「また明日ー」



成瀬くんの家を出る直前。

わたしは気づかなかった。



「なんで俺のこと覚えてないんだよ……凜花……」



成瀬くんが呟いていたことに。
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