イケメンくんは地味子に夢中






思うところは色々あったものの、今日ばっかりは考えても仕方がないので家に帰る。

帰り道、スマホ片手にぶつぶつと独り言を言っている怪しげな人を見かけた。



「あれっ……ここ、どこ……?」



よく見てみると同じ学校の生徒だ。

……え、凜花?



「あれ、えー……?」

「お前、ここで何してんの」

「……!?」



とっさに後ろから声をかけてしまい、肩がビクッとあがった凜花。

声かける方向ミスった……後ろから男に声かけられたらそりゃビビるよな。

しかも緊張と混乱できつい口調になったかもしれない。

やらかした、と後悔しているとくるっと振り返った凜花。



「成瀬、くん?」



そのかわいさと名前呼びの破壊力にやられつつ、平静を装うために少しぶっきらぼうに話しかける。



「お前怪しすぎだろ。スマホ見ながらブツブツずっとしゃべってるし。何があったわけ」

「えっとー……」

「いいから言えよ」

「えっとですね。迷子になっちゃって、家に帰れなくて……」

「は?地図見せろ、送ってやる」



そういえば凜花は方向音痴だったっけ。



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