イケメンくんは地味子に夢中
わたしは社長になにかしてあげられるようなことがなかったから、最後の最後になっちゃったけどしっかり感謝を伝えないと。



「なにかあったらいつでも連絡してくるのよ!?」

「はいっ本当にありがとうございました!」



どうしよ、涙出てきそう……。



「社長……大好きです〜……っ!!」

「RIN……だめだわっ。あたし、ここにいたら泣いちゃいそう!ぐちゃぐちゃな状態で空港なんて行けないもの!」

「RIN……凜花。ありがとな。頑張れよ」

「加藤……」

「じゃあね、凜花」

「本当にありがとうございました!!」



あぁ、もう帰っちゃうのか……。

寂しい。



「じゃあお母さんも帰るわね〜」

「えっ」



パタンと小さく音を立て、静かに閉まった扉。

部屋に残されたのはわたしと可愛い制服、ウィッグ、メガネ、カラコン。そしてお隣さん用に、とお母さんが置いていった菓子折り。

まだ生活感のない殺風景な部屋。

ただただ真っ白な壁が嫌に眩しく感じる。



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