3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
◇◇◇
会場には既に人が溢れかえっていて、出席者は各テーブルに備えられた軽食やお酒を味わいながら、各々会話を楽しんでいる。
私達は入口で待機していた白鳥様と合流して会場の奥へと進んでいくと、楓様が近くを通る度に周囲の人達は会話を止め、何やらこちらに視線を向けてくる為、私は終始落ち着かない様子でお二人の後に続く。
一方、楓様と白鳥様はそんな周囲の目を全く気にする事なく、堂々とした出立で東郷家が集うテーブルまで突き進む。
「遅かったな」
会場の突き当たりにある主催者側テーブルまで到着すると、既に東郷家の方々が揃っていて、東郷代表は楓様の姿を見た途端、呆れた表情を見せてきた。
こうして東郷代表のお姿を改めて拝見すると、中性的な美形顔の楓様とはまた違うけど、キリッとした目元はそっくりだった。
確か御年六十歳は超えていると聞いてはいるが、そう思わせない程に背筋がピンと伸びていて身長も高く足もすらっと伸びている為、東郷兄弟のあのモデル顔負けのスタイルはきっと父親譲りなのだろうと納得してしまう。
その隣に立っている方は初めてお目にかかる東郷代表の奥様。
顔立ちは竜司様とそっくりな細く釣り上がった切長の目をしていて、長い髪を綺麗にまとめ上げ、黒色で金色の刺繍が入った着物を見に纏い、厳かな雰囲気を漂わせる。
それから続いて、竜司様のお連れの女性と思われる物腰の柔らかそうなふわふわなミディアムボムの若い女性が立っており、御三方は楓様の方には一切目もくれず和気藹々と会話を楽しんでいて、その光景がなんとも不愉快だった。
……そして……
「楓さん、ずっとお待ちしてたんですよ。なかなかお見えにならないから心配しました」
満面の笑みで突然楓様の腕に抱き付いてきた、例の婚約者の女性。
あの時は一瞬でしかお姿を拝見出来なかったけど、改めて見ると、楓様のようにお美しい方だった。
艶やかなウェーブかかった長い茶髪に、睫毛が長く垂れ気味の大きな瞳。
下唇がとてもふっくらしていて、口元には黒子があり、大人の色気を醸し出す。
お召し物は体のラインを強調した真っ赤なマーメイドドレスで、大きく開いた胸元は豊満な胸を強調させ、ウエストも細く、誰もが羨むその体付きに私は暫く目を奪われてしまった。
……この方が、楓様と営んでいた女性……。
そう思った瞬間、あの時耳にした情欲的な喘ぎ声と共にお二人の絡んでいる姿が脳裏に浮かび、私は全身がだんだんと熱くなってくる。
「悪かったな。ちょっと立て込んでて」
すると、楓様は無表情で婚約者の方に目を向けると、特に嫌がる様子もなく、されるがままにその状況を受け入れていた。
その光景に、私の胸がズキズキと痛み出す。
どうしようもない事だとは分かっていたけど、やはり目の前で楓様と婚約者の方の絡みを見てしまうと、体が正直に反応してしまう。
「楓様、白鳥様、何をお飲みになられますか?」
一先ず、乾杯の音頭が始まる前に、お二人にも飲み物をご提供する為、間に割って入った瞬間、何故か楓様の隣に立つ婚約者の方に思いっきり睨まれてしまい、一瞬怯んでしまう。
「俺はカクテル」
「私も同じもので結構です」
すかさずお二人にそう仰られたので、私は婚約者の鋭い視線から逃げるようにその場を離れ、急いで飲み物を配膳係の方から頂き、お二人にご提供する。
会場には既に人が溢れかえっていて、出席者は各テーブルに備えられた軽食やお酒を味わいながら、各々会話を楽しんでいる。
私達は入口で待機していた白鳥様と合流して会場の奥へと進んでいくと、楓様が近くを通る度に周囲の人達は会話を止め、何やらこちらに視線を向けてくる為、私は終始落ち着かない様子でお二人の後に続く。
一方、楓様と白鳥様はそんな周囲の目を全く気にする事なく、堂々とした出立で東郷家が集うテーブルまで突き進む。
「遅かったな」
会場の突き当たりにある主催者側テーブルまで到着すると、既に東郷家の方々が揃っていて、東郷代表は楓様の姿を見た途端、呆れた表情を見せてきた。
こうして東郷代表のお姿を改めて拝見すると、中性的な美形顔の楓様とはまた違うけど、キリッとした目元はそっくりだった。
確か御年六十歳は超えていると聞いてはいるが、そう思わせない程に背筋がピンと伸びていて身長も高く足もすらっと伸びている為、東郷兄弟のあのモデル顔負けのスタイルはきっと父親譲りなのだろうと納得してしまう。
その隣に立っている方は初めてお目にかかる東郷代表の奥様。
顔立ちは竜司様とそっくりな細く釣り上がった切長の目をしていて、長い髪を綺麗にまとめ上げ、黒色で金色の刺繍が入った着物を見に纏い、厳かな雰囲気を漂わせる。
それから続いて、竜司様のお連れの女性と思われる物腰の柔らかそうなふわふわなミディアムボムの若い女性が立っており、御三方は楓様の方には一切目もくれず和気藹々と会話を楽しんでいて、その光景がなんとも不愉快だった。
……そして……
「楓さん、ずっとお待ちしてたんですよ。なかなかお見えにならないから心配しました」
満面の笑みで突然楓様の腕に抱き付いてきた、例の婚約者の女性。
あの時は一瞬でしかお姿を拝見出来なかったけど、改めて見ると、楓様のようにお美しい方だった。
艶やかなウェーブかかった長い茶髪に、睫毛が長く垂れ気味の大きな瞳。
下唇がとてもふっくらしていて、口元には黒子があり、大人の色気を醸し出す。
お召し物は体のラインを強調した真っ赤なマーメイドドレスで、大きく開いた胸元は豊満な胸を強調させ、ウエストも細く、誰もが羨むその体付きに私は暫く目を奪われてしまった。
……この方が、楓様と営んでいた女性……。
そう思った瞬間、あの時耳にした情欲的な喘ぎ声と共にお二人の絡んでいる姿が脳裏に浮かび、私は全身がだんだんと熱くなってくる。
「悪かったな。ちょっと立て込んでて」
すると、楓様は無表情で婚約者の方に目を向けると、特に嫌がる様子もなく、されるがままにその状況を受け入れていた。
その光景に、私の胸がズキズキと痛み出す。
どうしようもない事だとは分かっていたけど、やはり目の前で楓様と婚約者の方の絡みを見てしまうと、体が正直に反応してしまう。
「楓様、白鳥様、何をお飲みになられますか?」
一先ず、乾杯の音頭が始まる前に、お二人にも飲み物をご提供する為、間に割って入った瞬間、何故か楓様の隣に立つ婚約者の方に思いっきり睨まれてしまい、一瞬怯んでしまう。
「俺はカクテル」
「私も同じもので結構です」
すかさずお二人にそう仰られたので、私は婚約者の鋭い視線から逃げるようにその場を離れ、急いで飲み物を配膳係の方から頂き、お二人にご提供する。