3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
◇◇◇
「……ん……」
「楓様おはようございます。そろそろ起きて下さい」
朝日が差し込む部屋の中、ソファーの上で仰向けになりながら薄らと目を開き始めた楓様の顔を覗き込むと、少しだけ声を張り上げて私は朝の挨拶をする。
「……何だ。あれから寝てたのか……」
状況がいまいち出来ていないのか。楓様は目だけ泳がせて周囲の様子を見ると、暫くしてゆっくりと体を起き上がらせた。
「もう、せっかくマッサージをして差し上げたのに、ソファーで寝てしまっては全く意味がなくなってしまったではないですか」
未だ意識が覚醒せず呆然と一点を見つめる楓様に向かって、私は遠慮なしに頬を膨らませがら口をこぼす。
「それなら起こしてくれれば良いだろ」
そんな私に、楓様も不服そうな顔付きで軽く睨んできた。
「試みましたが、無駄に終わったので諦めました」
しかし、その視線をものともしない私は、深い溜息と共に昨日の出来事を振り返る。
あれから、楓様の体を何度か強く揺すってはみたもののビクともしなかった為、体をゆっくりとどかしてソファーに寝かせてみたら、これまた深い眠りにつかれてしまったので、もうお手上げ状態だった。
私に力があればそのままお姫様抱っこをしてベットに運べたのに、そんな事は出来るはずもなく、仕方ないのでそのまま布団を掛けて寝かせてしまい、今に至る。
「……確かに、体バキバキだわ……」
まだ疲れが残っているのか、顔色があまり芳しくない様子で楓様は自分の肩を自分で揉みながら、小さく息を吐く。
「楓様、出勤まで時間がありますし、お風呂をご用意したのでゆっくり浸かって下さい。その後朝食を準備致しますので」
こうなる事は予想はしていたので、少しでも体を解してもらおうと私は積極的に入浴を促す。
「相変わらず良い仕事してくれてんじゃん」
すると、ここで急な褒め言葉を頂き、不意をつかれた私は思わず赤面してしまう。
「美守、風呂から出たらまたマッサージして」
しかも、表情は相変わらず素っ気ないままだけど、いつもの命令口調とは違い、まるで少年のような柔らかい口調でおねだりをされてしまい、そのギャップに私の心は見事鷲掴みにされてしまう。
おそらく、無自覚なのでしょうけど、明らかに昨日との態度の違いに頭が混乱していてる。
けど、そんな楓様の変化がとても嬉しくて、私は自然と口元が緩んでしまう。
「はい。喜んで」
それから、その気持ちが溢れ出たまま、私は満面の笑みを向けて大きく頷いたのだった。
「……ん……」
「楓様おはようございます。そろそろ起きて下さい」
朝日が差し込む部屋の中、ソファーの上で仰向けになりながら薄らと目を開き始めた楓様の顔を覗き込むと、少しだけ声を張り上げて私は朝の挨拶をする。
「……何だ。あれから寝てたのか……」
状況がいまいち出来ていないのか。楓様は目だけ泳がせて周囲の様子を見ると、暫くしてゆっくりと体を起き上がらせた。
「もう、せっかくマッサージをして差し上げたのに、ソファーで寝てしまっては全く意味がなくなってしまったではないですか」
未だ意識が覚醒せず呆然と一点を見つめる楓様に向かって、私は遠慮なしに頬を膨らませがら口をこぼす。
「それなら起こしてくれれば良いだろ」
そんな私に、楓様も不服そうな顔付きで軽く睨んできた。
「試みましたが、無駄に終わったので諦めました」
しかし、その視線をものともしない私は、深い溜息と共に昨日の出来事を振り返る。
あれから、楓様の体を何度か強く揺すってはみたもののビクともしなかった為、体をゆっくりとどかしてソファーに寝かせてみたら、これまた深い眠りにつかれてしまったので、もうお手上げ状態だった。
私に力があればそのままお姫様抱っこをしてベットに運べたのに、そんな事は出来るはずもなく、仕方ないのでそのまま布団を掛けて寝かせてしまい、今に至る。
「……確かに、体バキバキだわ……」
まだ疲れが残っているのか、顔色があまり芳しくない様子で楓様は自分の肩を自分で揉みながら、小さく息を吐く。
「楓様、出勤まで時間がありますし、お風呂をご用意したのでゆっくり浸かって下さい。その後朝食を準備致しますので」
こうなる事は予想はしていたので、少しでも体を解してもらおうと私は積極的に入浴を促す。
「相変わらず良い仕事してくれてんじゃん」
すると、ここで急な褒め言葉を頂き、不意をつかれた私は思わず赤面してしまう。
「美守、風呂から出たらまたマッサージして」
しかも、表情は相変わらず素っ気ないままだけど、いつもの命令口調とは違い、まるで少年のような柔らかい口調でおねだりをされてしまい、そのギャップに私の心は見事鷲掴みにされてしまう。
おそらく、無自覚なのでしょうけど、明らかに昨日との態度の違いに頭が混乱していてる。
けど、そんな楓様の変化がとても嬉しくて、私は自然と口元が緩んでしまう。
「はい。喜んで」
それから、その気持ちが溢れ出たまま、私は満面の笑みを向けて大きく頷いたのだった。