3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
第12話.愛する気持ち
……ああ、私はなんてあんな大胆な行動に出てしまったのでしょうか。
まさか、自分が自ら男性に抱きついた上に、告白までしてしまうなんて。
あの時の事を振り返ると、今までの自分は何だったのかと思う程に我ながら信じられなくて、今でも顔の火照りが治らない。
それもこれも、全て楓様のせいです。
あんなにうなされて苦しんでいて、辛そうな表情をされてしまっては、もうああする他なかったから。
バトラー解任を言い渡されそうになった時、ショックよりも、そんな楓様を何とかしたくて、苦しみをほんの少しでも和らげたくて、気付けば彼に抱きついて、胸の内を明かしてしまった。
もう明日から私はどんな顔をして会えばいいのでしょうか……。
……。
………けど、それはきっと楓様も同じなのかもしれません。
あれ程までに泣いていらっしゃったから……。
まるで、長年のしがらみから解き放たれたような……。あんなに縋り付いて涙を溢す姿に、こっちまで胸が苦しくなって泣きそうになるのを必死に堪えていた。
けど、それ程までに私に身を委ねて下さった事が嬉しくて、ようやく楓様の闇を少しだけ取り除く事が出来たようで、全てが報われた気がする。
そして、そんな私の想いを楓様は受け入れて下さった。
それが何よりも一番嬉しくて、これからも楓様を愛し続けることを認めてくれたようで、あれからずっと胸の奥の疼きが収まらず、今に至る。
そうして、気付けば空は朝日が昇っていて、私は楓様の看病で殆ど眠る事は出来なかったけど、全身が満ち足りている気分に、辛いと感じることは全くなかった。