3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
そんなこんなで、ついに迎えてしまった楓様のチェックアウトの時。
頃合いを見て食器を下げようと再び部屋を訪れると、そろそろ出勤なされるのか。腕時計をはめて上着を着ている姿に寂しさが襲う。
「それじゃあ、俺はもう行くから」
そして、ビジネスバックと黒いキャリーケースを手に持ったところで、私は慌てて彼の元へと駆け寄った。
「これは私が入口までお運びします」
いつもなら有無を言わさず持たされるけど、あれから横暴な振る舞いは一切なくなり、要望も少なくなってしまったので、バトラーとしてこのままではいけないと。
半ば強引にキャリーケースを受け取ろうと手を伸ばしたら、それを阻止するように楓様は私の手首を軽く掴んできた。
「食器を下げに来たんだろ?だから、ここまででいいよ」
「……そんな……」
それから、優しい目を向けながらやんわりと口元を緩ませながら気遣って下さる楓様に胸が高鳴るも、ギリギリまで一緒に居たかった私は物悲しい面持ちで彼を見上げる。
そんな気持ちを汲み取って下さったのか。楓様は小さく微笑むと、掴んでいた手をそのまま後ろへ引っ張り、バランスを崩して倒れそうになる私の体をしっかりと受け止めて下さった。
「またすぐ会えるんだから、そんな顔するな。それに、会うのはもうホテルだけじゃなくていいんだぞ?」
その上、慰めるように頭を優しく撫でながら仰って下さった言葉に、私は大きく目を見開いて思わず勢い良く顔を上げてしまう。
「ほ、本当ですか?……でも、楓様はただでさえお忙しいのに……」
気持ちはとても嬉しいけど、自分の我儘で更に負担をかけさせたくはないので、その話に今すぐにでも飛びつきたい衝動を何とか堪えようと、私は俯いてしまう。
けど、すぐさま楓様の長い指が伸びてくると、顎を軽く上げられ、強制的に視線を戻されたことに動揺して揺れる私の瞳を、真っ直ぐな目で捉えてくる。
そんな熱い眼差しに魅せられて、頬が一気に熱を帯びてくのを感じながら、私も琥珀色の綺麗な瞳をじっと見つめ返した。
「俺が会いたいんだ。だから、遠慮なんてするな」
それから、願ってもいない話に今度は全身が熱くなり始め、愛しさがどんどんと溢れ出てくる。
「私も、出来ることなら毎日でも楓様に会いたいです」
そんな想いが心を支配していき、その勢いでつい本音を漏らしてしまった事に、私はやってしまったと冷や汗を垂らす。
重荷を感じさせてしまったのではないかと不安に駆られていると、突然視界が暗くなった瞬間、楓様の唇が私の口を塞いできた。
不意の出来事に頭が真っ白になった私は、驚きのあまり目を丸くさせるも、唇からじんわりと伝わってくる溶ける程の熱に段々と浮かされ、ゆっくりと瞳を閉じる。
それから、触れるくらいの優しいキスをニ、三回程度された後、徐に唇が解放され、目を開くと視界いっぱいに綺麗で穏やかな楓様の顔が映り込んだ。
頃合いを見て食器を下げようと再び部屋を訪れると、そろそろ出勤なされるのか。腕時計をはめて上着を着ている姿に寂しさが襲う。
「それじゃあ、俺はもう行くから」
そして、ビジネスバックと黒いキャリーケースを手に持ったところで、私は慌てて彼の元へと駆け寄った。
「これは私が入口までお運びします」
いつもなら有無を言わさず持たされるけど、あれから横暴な振る舞いは一切なくなり、要望も少なくなってしまったので、バトラーとしてこのままではいけないと。
半ば強引にキャリーケースを受け取ろうと手を伸ばしたら、それを阻止するように楓様は私の手首を軽く掴んできた。
「食器を下げに来たんだろ?だから、ここまででいいよ」
「……そんな……」
それから、優しい目を向けながらやんわりと口元を緩ませながら気遣って下さる楓様に胸が高鳴るも、ギリギリまで一緒に居たかった私は物悲しい面持ちで彼を見上げる。
そんな気持ちを汲み取って下さったのか。楓様は小さく微笑むと、掴んでいた手をそのまま後ろへ引っ張り、バランスを崩して倒れそうになる私の体をしっかりと受け止めて下さった。
「またすぐ会えるんだから、そんな顔するな。それに、会うのはもうホテルだけじゃなくていいんだぞ?」
その上、慰めるように頭を優しく撫でながら仰って下さった言葉に、私は大きく目を見開いて思わず勢い良く顔を上げてしまう。
「ほ、本当ですか?……でも、楓様はただでさえお忙しいのに……」
気持ちはとても嬉しいけど、自分の我儘で更に負担をかけさせたくはないので、その話に今すぐにでも飛びつきたい衝動を何とか堪えようと、私は俯いてしまう。
けど、すぐさま楓様の長い指が伸びてくると、顎を軽く上げられ、強制的に視線を戻されたことに動揺して揺れる私の瞳を、真っ直ぐな目で捉えてくる。
そんな熱い眼差しに魅せられて、頬が一気に熱を帯びてくのを感じながら、私も琥珀色の綺麗な瞳をじっと見つめ返した。
「俺が会いたいんだ。だから、遠慮なんてするな」
それから、願ってもいない話に今度は全身が熱くなり始め、愛しさがどんどんと溢れ出てくる。
「私も、出来ることなら毎日でも楓様に会いたいです」
そんな想いが心を支配していき、その勢いでつい本音を漏らしてしまった事に、私はやってしまったと冷や汗を垂らす。
重荷を感じさせてしまったのではないかと不安に駆られていると、突然視界が暗くなった瞬間、楓様の唇が私の口を塞いできた。
不意の出来事に頭が真っ白になった私は、驚きのあまり目を丸くさせるも、唇からじんわりと伝わってくる溶ける程の熱に段々と浮かされ、ゆっくりと瞳を閉じる。
それから、触れるくらいの優しいキスをニ、三回程度された後、徐に唇が解放され、目を開くと視界いっぱいに綺麗で穏やかな楓様の顔が映り込んだ。