3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
「……可愛いな。そんな顔するなよ。またキスしたくなるだろ?」
それなのに、楓さんには全く通用していないどころか、急に情欲的な目付きに変わり、じっとこちらを凝視してくる熱い眼差しに、体の奥が段々と疼いてくる。
「これだから電話は嫌なんだよ。今すぐにでもここで美守を抱きたいくらいなのに……触れたくても触れられないなんて、まるで拷問じゃん」
そして、苦悶な表情で私を求めてくる彼の熱に浮かされてきて、私も楓さんの綺麗な顔をじっと眺めていた。
「私も、楓さんの温もりが欲しいです」
それから、気付けば自然と気恥しい要求を口にしてしまい、流石の楓さんも意表を突かれたのか、一瞬目を丸くさせて私を見た。
「そんな事言われたら歯止め効かなくなるけど?」
けど、直ぐにまた余裕の顔付きに戻り、妖しく目を光らせてから不敵な笑みを浮かべてみせる。
「いいです。楓さんの好きにしてください」
こんな真っ昼間に、しかも職場でなんていう会話をしているのだろうと自覚はありつつも、彼を求める気持ちが抑えられず、自分ではないみたいに、心の声をそのまま外に漏らしてしまう。
「分かった。それなら次会う時までに覚悟しとけよ。もう容赦しないからな」
それが楓さんに火を付けてしまったのか。一変してあの獲物を狙う狼みたいな鋭い目付きになり、思わず背中がぞくりと震えた。
「……美守」
その時、楓様は上半身をベットから起き上がらせると、今度はいつになく真剣な眼差しで私を見据えてきて、私は何だか妙な緊張が走る。
「いつまでとは約束出来ないけど、全ての事を終わらせてから必ず迎えに行く」
真っ直ぐな目から楓さんの強い意志を感じられるも、その表情はまるで何かに迫られているような、大きな事案を抱えているような、画面越しから鬼気迫るものを感じ、心の底から段々と不安が押し寄せてくる。
「楓さんは何をされようとしているのですか?」
私の思い違いかもしれないけど、何故だか胸騒ぎがして、居ても立っても居られず思わず疑問を口にしてしまった。
「………………悪いけど言えない。おそらく直ぐに決着がつくものでもないから時間は少しかかるかもしれない。それでも、その時が来るまで待っていてくれるか?」
長い沈黙の後、やはり私の質問に答えてくれることはなく、しかも、ついさっきまでは自信に満ち溢れていた目をしていたのに、今度はとても不安そうな弱々しい目で訴えられてしまい、その表情に胸が締め付けられていく。
そういえば、以前も同じようなことを言って思い詰めた表情を見せていた時があった。
その時も、ただ見ているだけで、何も出来ない自分に不甲斐なさを感じていたけど、今なんて側にすらいる事が出来ない。
それでも、全てを終わらせて私を迎えに行くと言うのであれば……。
「当たり前じゃないですか。楓さんの側に戻れるなら何年でも何十年でも待ちます。だから、楓さんも私を信じてください」
今の私にはそれくらいしか出来ないから、それならばこの気持ちを彼にもしっかりと伝えたくて。
私が楓さんを信じているように、楓さんも私を信じて欲しいから。
そう思って必死に目では訴えてはいるけど、これだけじゃ物足りない気がする。
でも、電話だとそれぐらいしか自分の気持ちを表現することが出来ず、もどかしくて、今になって楓さんの気持ちがよく分かる気がする。
「ありがとう美守。安心しろ、流石にそこまではかからないから」
そんな悶々とする中、私の言ったことが大袈裟に聞こえたようで楓さんは急に吹き出すと、まるで少年のような無邪気な笑顔で笑われてしまい、不覚にも思いっきり心を持ってかれてしまう。
けど、その笑顔を見てたら、こちらもようやく不安が薄れていき、自然と満面の笑みが溢れ始めた。
それなのに、楓さんには全く通用していないどころか、急に情欲的な目付きに変わり、じっとこちらを凝視してくる熱い眼差しに、体の奥が段々と疼いてくる。
「これだから電話は嫌なんだよ。今すぐにでもここで美守を抱きたいくらいなのに……触れたくても触れられないなんて、まるで拷問じゃん」
そして、苦悶な表情で私を求めてくる彼の熱に浮かされてきて、私も楓さんの綺麗な顔をじっと眺めていた。
「私も、楓さんの温もりが欲しいです」
それから、気付けば自然と気恥しい要求を口にしてしまい、流石の楓さんも意表を突かれたのか、一瞬目を丸くさせて私を見た。
「そんな事言われたら歯止め効かなくなるけど?」
けど、直ぐにまた余裕の顔付きに戻り、妖しく目を光らせてから不敵な笑みを浮かべてみせる。
「いいです。楓さんの好きにしてください」
こんな真っ昼間に、しかも職場でなんていう会話をしているのだろうと自覚はありつつも、彼を求める気持ちが抑えられず、自分ではないみたいに、心の声をそのまま外に漏らしてしまう。
「分かった。それなら次会う時までに覚悟しとけよ。もう容赦しないからな」
それが楓さんに火を付けてしまったのか。一変してあの獲物を狙う狼みたいな鋭い目付きになり、思わず背中がぞくりと震えた。
「……美守」
その時、楓様は上半身をベットから起き上がらせると、今度はいつになく真剣な眼差しで私を見据えてきて、私は何だか妙な緊張が走る。
「いつまでとは約束出来ないけど、全ての事を終わらせてから必ず迎えに行く」
真っ直ぐな目から楓さんの強い意志を感じられるも、その表情はまるで何かに迫られているような、大きな事案を抱えているような、画面越しから鬼気迫るものを感じ、心の底から段々と不安が押し寄せてくる。
「楓さんは何をされようとしているのですか?」
私の思い違いかもしれないけど、何故だか胸騒ぎがして、居ても立っても居られず思わず疑問を口にしてしまった。
「………………悪いけど言えない。おそらく直ぐに決着がつくものでもないから時間は少しかかるかもしれない。それでも、その時が来るまで待っていてくれるか?」
長い沈黙の後、やはり私の質問に答えてくれることはなく、しかも、ついさっきまでは自信に満ち溢れていた目をしていたのに、今度はとても不安そうな弱々しい目で訴えられてしまい、その表情に胸が締め付けられていく。
そういえば、以前も同じようなことを言って思い詰めた表情を見せていた時があった。
その時も、ただ見ているだけで、何も出来ない自分に不甲斐なさを感じていたけど、今なんて側にすらいる事が出来ない。
それでも、全てを終わらせて私を迎えに行くと言うのであれば……。
「当たり前じゃないですか。楓さんの側に戻れるなら何年でも何十年でも待ちます。だから、楓さんも私を信じてください」
今の私にはそれくらいしか出来ないから、それならばこの気持ちを彼にもしっかりと伝えたくて。
私が楓さんを信じているように、楓さんも私を信じて欲しいから。
そう思って必死に目では訴えてはいるけど、これだけじゃ物足りない気がする。
でも、電話だとそれぐらいしか自分の気持ちを表現することが出来ず、もどかしくて、今になって楓さんの気持ちがよく分かる気がする。
「ありがとう美守。安心しろ、流石にそこまではかからないから」
そんな悶々とする中、私の言ったことが大袈裟に聞こえたようで楓さんは急に吹き出すと、まるで少年のような無邪気な笑顔で笑われてしまい、不覚にも思いっきり心を持ってかれてしまう。
けど、その笑顔を見てたら、こちらもようやく不安が薄れていき、自然と満面の笑みが溢れ始めた。