3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
それから、時間が許す限り私は楓さんと会話を満喫した後、また落ち着いた頃に連絡するという約束をして、そこで通話を終了させた。
その瞬間、一気に体の力が抜けて、私は大きなため息と共に思わずその場にしゃがみ込んでしまう。
通話をする前は信じると前向きになっていても、何処か不安と寂しさが拭いきれなかった。
けど、これでようやく楓さんに現状を伝えられ、しかも必ず迎えに行くという確約まで頂き、今では安らかな気持ちでいられる。
ただ、楓さんが一体何をしようとしているのか、その疑問については解消されないまま悶々としているけど、今ここで悩んでいても仕方がない。
とりあえず、一先ず懸案事項が一つ減り、心が少し軽くなった気分のまま午後の仕事も頑張ろうと。
気合いを入れ直して立ち上がり、この場を後にしようと一歩踏み出した時だった。
「驚きました。天野さんって東郷家の息子からそんなに愛されているんですねー」
突如立ちはだかるように宮田さんが私の目の前に姿を現し、意表を突かれた私は全身の毛が逆立ってつい悲鳴を上げてしまった。
「み、み、宮田さん!?いつからそこにっ!?というか、私達の話を立ち聞きしてたんですかっ!?」
誰にも見つからないように注意を払ってこの場所を選んだのに、ここで出会すなんて、もしかしたら知らずに後を付けられていたのだろうか。
私は動揺を隠すことができず、真っ青になりながら震える声でそう尋ねる。
「だって、天野さん凄く怪しい行動してたから、つい気になって。そしたら、真っ昼間から超ラブラブな会話が聞こえてきちゃって、こっちまで恥ずかしくなっちゃいましたよ。離されてもまだ繋がっているなんて、やっぱり天野さんって相当なやり手だったんですねー」
人の会話を盗み聞きしていたのに全く悪びれる様子もない上に、嘲笑うような目を向けられてしまい、その常識外れな彼女の振る舞いに、私は呆気に取られてしまった言葉がなかなか出てなかった。
「あ、あの……このことは……」
「もちろん、誰にも言いませんよ。ただし、条件があります」
そして、ようやく声が出せるようになり、一先ずその場を収めようと口を開いた途端、食い気味に言われた宮田さんの一言に私は目が点になる。
「天野さんの彼氏に頼んで私にもいい人紹介してくれませんか?財閥家の御曹司なら、きっとそういう人脈ありますよね?」
しかし、こちらの反応はお構いなしと、更に話を進めていく宮田さん。しかも、その身勝手な内容に、私は開いた口が塞がらなかった。
「そ、そこまでしてですか?宮田さん、こんなやり方ではあまり良い出会いには繋がらないと思いますが」
人を強請ってまで玉の輿を狙いたいだなんて。そこまでの執着さに恐怖すら感じてしまうけど、何事も始めが肝心だと思う私は、そんな曲がった彼女の行いを何とか思い直してもらおうと、はっきりと自分の考えを伝えた。
その瞬間、一気に体の力が抜けて、私は大きなため息と共に思わずその場にしゃがみ込んでしまう。
通話をする前は信じると前向きになっていても、何処か不安と寂しさが拭いきれなかった。
けど、これでようやく楓さんに現状を伝えられ、しかも必ず迎えに行くという確約まで頂き、今では安らかな気持ちでいられる。
ただ、楓さんが一体何をしようとしているのか、その疑問については解消されないまま悶々としているけど、今ここで悩んでいても仕方がない。
とりあえず、一先ず懸案事項が一つ減り、心が少し軽くなった気分のまま午後の仕事も頑張ろうと。
気合いを入れ直して立ち上がり、この場を後にしようと一歩踏み出した時だった。
「驚きました。天野さんって東郷家の息子からそんなに愛されているんですねー」
突如立ちはだかるように宮田さんが私の目の前に姿を現し、意表を突かれた私は全身の毛が逆立ってつい悲鳴を上げてしまった。
「み、み、宮田さん!?いつからそこにっ!?というか、私達の話を立ち聞きしてたんですかっ!?」
誰にも見つからないように注意を払ってこの場所を選んだのに、ここで出会すなんて、もしかしたら知らずに後を付けられていたのだろうか。
私は動揺を隠すことができず、真っ青になりながら震える声でそう尋ねる。
「だって、天野さん凄く怪しい行動してたから、つい気になって。そしたら、真っ昼間から超ラブラブな会話が聞こえてきちゃって、こっちまで恥ずかしくなっちゃいましたよ。離されてもまだ繋がっているなんて、やっぱり天野さんって相当なやり手だったんですねー」
人の会話を盗み聞きしていたのに全く悪びれる様子もない上に、嘲笑うような目を向けられてしまい、その常識外れな彼女の振る舞いに、私は呆気に取られてしまった言葉がなかなか出てなかった。
「あ、あの……このことは……」
「もちろん、誰にも言いませんよ。ただし、条件があります」
そして、ようやく声が出せるようになり、一先ずその場を収めようと口を開いた途端、食い気味に言われた宮田さんの一言に私は目が点になる。
「天野さんの彼氏に頼んで私にもいい人紹介してくれませんか?財閥家の御曹司なら、きっとそういう人脈ありますよね?」
しかし、こちらの反応はお構いなしと、更に話を進めていく宮田さん。しかも、その身勝手な内容に、私は開いた口が塞がらなかった。
「そ、そこまでしてですか?宮田さん、こんなやり方ではあまり良い出会いには繋がらないと思いますが」
人を強請ってまで玉の輿を狙いたいだなんて。そこまでの執着さに恐怖すら感じてしまうけど、何事も始めが肝心だと思う私は、そんな曲がった彼女の行いを何とか思い直してもらおうと、はっきりと自分の考えを伝えた。