3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
しかし、彼の言うとおり、この海外事業開発企画部門では語学力が必要だったり、長期出張が多かったりするので、条件に当てはまる人材が他部門より少なく、長期在勤者が多いのは事実だった。
それ故、主任男性のように経験だけでものを言うタイプが増えて、慢性的になり、東郷課長が赴任する前まではこの部署の業績は平行線を辿っていた。
なので、古きを捨て新しきを得るやり方は、組織改革と言えば聞こえはいいけど、この男の場合はそうじゃない。
全ては自分の昇任のため。
それには業務実績向上は必要不可欠であり、その《《足を引っ張る者》》はこうして足元をすくって容赦なく切り捨てる。
現に、資料部屋行きにされた人の数は歴代きっての最多を更新しているらしく、正に冷徹鬼課長として周囲からは恐れられている。
けど、それによって確実に業績は群を抜いて伸びているので、会社側としても正当な理由があっての左遷であれば、誰も文句は言わない。
本当に、いつか誰かに刺されても可笑しくない程、沢山の人間の人生を平然と潰しているこの悪魔みたいな男は、それすらも上手く交わせてしまうのだろう。
「……まったく、人を減らしたらその分の負担はこっちに掛かってくるんだから、程々にして欲しいものだわ」
確かに使えない人間が居続けるよりかは、優秀な人材が欲しいところだけど、その人間が使えるようになるまでに時間を要する。
なので、その分仕事量が一時的に増え、必然的に残業時間も増えるので、私は思わず深い溜息を吐いてこの男を軽く睨み付けた。
「だからお前を呼んだんだろ。白鳥が居れば心置きなく掃除が出来る」
すると、満足げな表情を浮かべながら何とも身勝手なことを言って退けた上に、何だかこの男の人切りに加担しているようで、全く嬉しくは無い。
けど、裏を返せば、それだけ私はこの男に信頼されているのだと思うと、それはそれで何だか複雑な心境だ。
「……はあ、もう好きにして。くれぐれも、私を余計な事に巻き込ませないよう配慮はしてよ」
兎にも角にも、上司と部下という立場ではあるけど、場合によっては同期のよしみでとばっちりを受ける事もあるかもしれないので、それだけは何としてでも避けたい。
だから、自分の身を守る為にも、私は念を推すように強めの口調でそう主張した。
「ああ。任せろ」
そして、この男は不敵な笑みを浮かべながら私の要求を呑むと、咥えていたタバコの火を消して、さっさとこの場から立ち去って行ったのだった。
それ故、主任男性のように経験だけでものを言うタイプが増えて、慢性的になり、東郷課長が赴任する前まではこの部署の業績は平行線を辿っていた。
なので、古きを捨て新しきを得るやり方は、組織改革と言えば聞こえはいいけど、この男の場合はそうじゃない。
全ては自分の昇任のため。
それには業務実績向上は必要不可欠であり、その《《足を引っ張る者》》はこうして足元をすくって容赦なく切り捨てる。
現に、資料部屋行きにされた人の数は歴代きっての最多を更新しているらしく、正に冷徹鬼課長として周囲からは恐れられている。
けど、それによって確実に業績は群を抜いて伸びているので、会社側としても正当な理由があっての左遷であれば、誰も文句は言わない。
本当に、いつか誰かに刺されても可笑しくない程、沢山の人間の人生を平然と潰しているこの悪魔みたいな男は、それすらも上手く交わせてしまうのだろう。
「……まったく、人を減らしたらその分の負担はこっちに掛かってくるんだから、程々にして欲しいものだわ」
確かに使えない人間が居続けるよりかは、優秀な人材が欲しいところだけど、その人間が使えるようになるまでに時間を要する。
なので、その分仕事量が一時的に増え、必然的に残業時間も増えるので、私は思わず深い溜息を吐いてこの男を軽く睨み付けた。
「だからお前を呼んだんだろ。白鳥が居れば心置きなく掃除が出来る」
すると、満足げな表情を浮かべながら何とも身勝手なことを言って退けた上に、何だかこの男の人切りに加担しているようで、全く嬉しくは無い。
けど、裏を返せば、それだけ私はこの男に信頼されているのだと思うと、それはそれで何だか複雑な心境だ。
「……はあ、もう好きにして。くれぐれも、私を余計な事に巻き込ませないよう配慮はしてよ」
兎にも角にも、上司と部下という立場ではあるけど、場合によっては同期のよしみでとばっちりを受ける事もあるかもしれないので、それだけは何としてでも避けたい。
だから、自分の身を守る為にも、私は念を推すように強めの口調でそう主張した。
「ああ。任せろ」
そして、この男は不敵な笑みを浮かべながら私の要求を呑むと、咥えていたタバコの火を消して、さっさとこの場から立ち去って行ったのだった。