3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜

……そう。
この男はいつだって目的の為なら手段を選ばない。

そして今現在、その矛先はこれまで代表になる為に躍起になっていた筈のこの会社に向けられている。

復讐よりも、もっと大切な掛け替えのない存在を手に入れる為に。


そんな奴の我儘に、これまでずっと振り回され続けていると思っていたけど、いつの間にやら動かされているのではなく、自らの意思で動いていたことに気付いたのは一体何時からだっただろうか。

余計な事に巻き込まれないよう平凡に生きる事を望んでいたつもりだったけど、長い間この男と過ごしたせいで、いつしか私はこんなにも感化されていたなんて、我ながら驚きだった。

でも、仕方がない。
これはある種の腐れ縁であり、こうなる運命だったのかもしれない。

だから、もう抗うつもりはないし、ここまで来たなら、とことんな迄に付き合って行こうと思う。

闇を照らす光の先に希望があるのなら、私はそれを最後まで見届けていきたいから……。


＿＿この最悪な戦友と共に。