3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
こうして目的地へと辿り着くと、ひとまず気付かれやすいように入口近くの椅子で待っていようと近付いた時だった。
「……あ」
既にそこには黒いパンツスーツ姿の白鳥様が腰掛けていて、向こうもこちらの存在に気付いたのか。その場から立ち上がり、軽い会釈をしてきた。
「すみません、お待たせしてしまって」
「いえ。私もついさっき来たばかりなので、お気になさらず」
久しぶりにお会いするけど、相変わらずの無表情な彼女。けど、それが今ではとても懐かしく思えて、自然と顔がほころんでくる。
「わあー、流石都内にお勤めしているだけあって、洗練されたバリバリのキャリアウーマンって感じですね!しかも美人ですし」
すると、再会した喜びに浸っているのも束の間。
背後から突然宮田さんがひょっこりと顔を出して来て、羨望の眼差しで白鳥様を見上げると、遠慮なしにぐいぐいと彼女に迫まってくる。
「……天野様、この方は?」
「えと、職場の同僚です。どうやら白鳥様にお会いしたいみたいでして」
予定にない人物の登場に、白鳥様は愛想を一切見せることなく、怪訝な目を宮田さんに向けてきたので、私はとりあえず苦笑いでそう答えた。
「初めまして、天野さんの後輩の宮田華です。それにしても、お二人やけに余所余所しいですね。本当にお友達なんですか?」
冷めた目で見られているのにも関わらず、宮田さんはそれを気にするような素振りをみせることなく、満面の笑みで自己紹介をした後、とても痛い所をつかれてしまい私は一人その場で狼狽えてしまう。
……どうしましょう。
白鳥様にはまだ何もお伝えしていないのに。
勝手に友人という事にしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになるも、ここは何とか話を合わせて欲しくて、白鳥様に目で訴えた。
白鳥様はそんな私の視線に気付くと、こちらを一瞥してから何かを悟ったように口元を緩ませてきて、私はその意味が良く分からず小さく首を傾げる。
「初めまして。私は東郷楓様の秘書をしている白鳥と申します」
そして、こちらが意図していたのとは逆で、あっさりと身分をバラしてしまった白鳥様に対して、私は驚愕の目を向ける。
「……え?東郷楓様って……例の?」
それは宮田さんも同じようで、まるで豆鉄砲を食らった鳩のように、口をあんぐりと開いたまま一時的に動きが止まってしまった。
「う、嘘。何でここに御曹司の秘書が居るんですか?てか、天野さんってそことも繋がってるんですか?」
それから、はたと我に帰ると、未だ信じられないといった様子で、声を震わせながら私と白鳥様を交互に見つめる。
「私と天野様が繋がっている事に何か問題でも?」
私はこの状況をどう説明しようか言葉を探していると、間髪入れずに白鳥様は宮田さんに少し厳しめの口調で問いただしてきた。
「だって、天野さんは御曹司と浮気して飛ばされたんですよね!?それなのに、この前なんて隠れて二人で電話していたし、その上秘書ともこうして密会しているなんて、かなり大問題じゃないですか!?」
白鳥様のただならぬ圧に押され、一瞬怯む素振りを見せるも、周りに人が居るのにも関わらず、まるで聞こえるように宮田さんは声を張り上げて私の弱みを堂々と曝け出してくる。
そんな彼女の配慮ない振る舞いに、戸惑いよりも唖然としてしまい、私はその場で立ち尽くしてしまう。
「普段は凄く真面目で周りからも信頼を寄せ始めているようですけど、やっぱり裏ではやる事やってるんですねー」
そんな何も言ってこない私を良い事に、宮田さんはまた弱みを握ったような勝ち誇った目を向けてきたので、この状況をどう乗り切ればいいのか思考を巡らせていた時だった。
「……あ」
既にそこには黒いパンツスーツ姿の白鳥様が腰掛けていて、向こうもこちらの存在に気付いたのか。その場から立ち上がり、軽い会釈をしてきた。
「すみません、お待たせしてしまって」
「いえ。私もついさっき来たばかりなので、お気になさらず」
久しぶりにお会いするけど、相変わらずの無表情な彼女。けど、それが今ではとても懐かしく思えて、自然と顔がほころんでくる。
「わあー、流石都内にお勤めしているだけあって、洗練されたバリバリのキャリアウーマンって感じですね!しかも美人ですし」
すると、再会した喜びに浸っているのも束の間。
背後から突然宮田さんがひょっこりと顔を出して来て、羨望の眼差しで白鳥様を見上げると、遠慮なしにぐいぐいと彼女に迫まってくる。
「……天野様、この方は?」
「えと、職場の同僚です。どうやら白鳥様にお会いしたいみたいでして」
予定にない人物の登場に、白鳥様は愛想を一切見せることなく、怪訝な目を宮田さんに向けてきたので、私はとりあえず苦笑いでそう答えた。
「初めまして、天野さんの後輩の宮田華です。それにしても、お二人やけに余所余所しいですね。本当にお友達なんですか?」
冷めた目で見られているのにも関わらず、宮田さんはそれを気にするような素振りをみせることなく、満面の笑みで自己紹介をした後、とても痛い所をつかれてしまい私は一人その場で狼狽えてしまう。
……どうしましょう。
白鳥様にはまだ何もお伝えしていないのに。
勝手に友人という事にしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになるも、ここは何とか話を合わせて欲しくて、白鳥様に目で訴えた。
白鳥様はそんな私の視線に気付くと、こちらを一瞥してから何かを悟ったように口元を緩ませてきて、私はその意味が良く分からず小さく首を傾げる。
「初めまして。私は東郷楓様の秘書をしている白鳥と申します」
そして、こちらが意図していたのとは逆で、あっさりと身分をバラしてしまった白鳥様に対して、私は驚愕の目を向ける。
「……え?東郷楓様って……例の?」
それは宮田さんも同じようで、まるで豆鉄砲を食らった鳩のように、口をあんぐりと開いたまま一時的に動きが止まってしまった。
「う、嘘。何でここに御曹司の秘書が居るんですか?てか、天野さんってそことも繋がってるんですか?」
それから、はたと我に帰ると、未だ信じられないといった様子で、声を震わせながら私と白鳥様を交互に見つめる。
「私と天野様が繋がっている事に何か問題でも?」
私はこの状況をどう説明しようか言葉を探していると、間髪入れずに白鳥様は宮田さんに少し厳しめの口調で問いただしてきた。
「だって、天野さんは御曹司と浮気して飛ばされたんですよね!?それなのに、この前なんて隠れて二人で電話していたし、その上秘書ともこうして密会しているなんて、かなり大問題じゃないですか!?」
白鳥様のただならぬ圧に押され、一瞬怯む素振りを見せるも、周りに人が居るのにも関わらず、まるで聞こえるように宮田さんは声を張り上げて私の弱みを堂々と曝け出してくる。
そんな彼女の配慮ない振る舞いに、戸惑いよりも唖然としてしまい、私はその場で立ち尽くしてしまう。
「普段は凄く真面目で周りからも信頼を寄せ始めているようですけど、やっぱり裏ではやる事やってるんですねー」
そんな何も言ってこない私を良い事に、宮田さんはまた弱みを握ったような勝ち誇った目を向けてきたので、この状況をどう乗り切ればいいのか思考を巡らせていた時だった。