3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
「ところで天野さんの方は式はどうするの?財閥家の結婚式っていったら一般市民の俺らとは比べ物にならない規模になりそうだけど……」
「そういえば、瀬名先輩の結婚式で二人の馴れ初め話聞いたらめっちゃ号泣しちゃいました。奥さんも小柄で可愛くて、二人とも凄くお似合いでしたよ!」
「本当ですね。紫織さんはとても優しい方でしたし、そのお友達も皆さんとても素敵でした」
「ありがとう。てか、俺の話はもういいから、今度は天野さんの番でしょ」
私の結婚について触れようとした途端話が思いっきり脱線してしまい、気付けば今度は瀬名さんの挙式について話題が切り替わろうとする手前、バッサリとそれを断ち切られてしまい、本題に引き戻された。
「……えと、そうですね。楓さんの性格上、挙式は身内だけでやりたいそうなので海外婚ということになりそうです。なので、お二人には申し訳ないですが、改めて違う形で今度彼を紹介したいと思います」
楓さんとの婚約が決まって以降、お二人からは挙式について大分期待をされ、私も可能なら是非とも出席して欲しかったけど、結果それが実現されないことになってしまい、残念な気持ちに私は軽く頭を下げた。
「それは仕方ないですよ。それに、もし大々的にやったとしたら私なら多分生きた心地しないです。きっとかなりの大物が集まるでしょうし、品定めされていると思うと折角の一生に一度の日が台無しになりそうな気がして怖いです」
そう力説する桜井さんの言い分には私も激しく同意するところがあり、無意識に首を縦に振ってしまう。
確かに、もしこれが国内婚であれば、経済界の重鎮の方々を招待しないわけにはいかないし、もしそうなれば私の所作一つ一つが注目されそうで、そのプレッシャーに耐えられる自信は正直ない。
けど、海外婚であればその重荷から解放されるので内心かなりホッとしている。
「それじゃあ、写真いっぱい撮ってきてよ。きっと天野さんの花嫁姿は凄く綺麗だと思うし」
「あ、出た。瀬名先輩の天然キラー発言。結婚してからはあまり乱用しないように気をつけた方がいいですよ」
「それは自覚ないから多分難しいかも」
桜井さんの言う通り、相変わらず瀬名さんの心を揺さぶられるような発言には、私もこれからは十分注意しなくてはと。
素直に頬が赤くなっていく自分を戒め、隣で苦笑いをする彼を眺めながら、高鳴る気持ちを落ち着かせた。
「それより、天野さん大丈夫?そろそろ約束の時間になるけど……」
すると、ふと腕時計を見て時刻を教えてくれた瀬名さんのお陰で、私は思いの外長話をしてしまった事に気付き、慌てて自分も時計に目をやる。
「あ、そうでしたね!すみません、お二人もこれからお仕事なのに時間をとらせてしまって。また今度ゆっくりお話ししましょう」
久しぶりの会話につい舞い上がってしまった私は、遅番である瀬名さんと桜井さんに別れを告げると、急いでその場から駆け出し、隣にある楓さんの職場へと小走りで向かった。
「そういえば、瀬名先輩の結婚式で二人の馴れ初め話聞いたらめっちゃ号泣しちゃいました。奥さんも小柄で可愛くて、二人とも凄くお似合いでしたよ!」
「本当ですね。紫織さんはとても優しい方でしたし、そのお友達も皆さんとても素敵でした」
「ありがとう。てか、俺の話はもういいから、今度は天野さんの番でしょ」
私の結婚について触れようとした途端話が思いっきり脱線してしまい、気付けば今度は瀬名さんの挙式について話題が切り替わろうとする手前、バッサリとそれを断ち切られてしまい、本題に引き戻された。
「……えと、そうですね。楓さんの性格上、挙式は身内だけでやりたいそうなので海外婚ということになりそうです。なので、お二人には申し訳ないですが、改めて違う形で今度彼を紹介したいと思います」
楓さんとの婚約が決まって以降、お二人からは挙式について大分期待をされ、私も可能なら是非とも出席して欲しかったけど、結果それが実現されないことになってしまい、残念な気持ちに私は軽く頭を下げた。
「それは仕方ないですよ。それに、もし大々的にやったとしたら私なら多分生きた心地しないです。きっとかなりの大物が集まるでしょうし、品定めされていると思うと折角の一生に一度の日が台無しになりそうな気がして怖いです」
そう力説する桜井さんの言い分には私も激しく同意するところがあり、無意識に首を縦に振ってしまう。
確かに、もしこれが国内婚であれば、経済界の重鎮の方々を招待しないわけにはいかないし、もしそうなれば私の所作一つ一つが注目されそうで、そのプレッシャーに耐えられる自信は正直ない。
けど、海外婚であればその重荷から解放されるので内心かなりホッとしている。
「それじゃあ、写真いっぱい撮ってきてよ。きっと天野さんの花嫁姿は凄く綺麗だと思うし」
「あ、出た。瀬名先輩の天然キラー発言。結婚してからはあまり乱用しないように気をつけた方がいいですよ」
「それは自覚ないから多分難しいかも」
桜井さんの言う通り、相変わらず瀬名さんの心を揺さぶられるような発言には、私もこれからは十分注意しなくてはと。
素直に頬が赤くなっていく自分を戒め、隣で苦笑いをする彼を眺めながら、高鳴る気持ちを落ち着かせた。
「それより、天野さん大丈夫?そろそろ約束の時間になるけど……」
すると、ふと腕時計を見て時刻を教えてくれた瀬名さんのお陰で、私は思いの外長話をしてしまった事に気付き、慌てて自分も時計に目をやる。
「あ、そうでしたね!すみません、お二人もこれからお仕事なのに時間をとらせてしまって。また今度ゆっくりお話ししましょう」
久しぶりの会話につい舞い上がってしまった私は、遅番である瀬名さんと桜井さんに別れを告げると、急いでその場から駆け出し、隣にある楓さんの職場へと小走りで向かった。