3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
第3話.一匹狼
——翌日。
「天野さん、楓様と何があったの!?」
早朝出勤して直ぐ御子柴マネージャーにもご報告をと思い、顔を合わせた直後、焦った様子で言われた言葉に私は硬直してしまった。
まさか、もう御子柴マネージャーの耳に入ってしまったなんて……。
当然と言えば当然なのかもしれないけど、恐れていた事態が早々に起きてしまい、血の気がどんどんと引いてくる。
「も、申し……」
「昨日楓様から直々に連絡があって、君を専属のバトラーにしろって言われたんだけど」
即座に頭を下げようとした瞬間、まさかの思いもよらない御子柴マネージャーの話に、私はまたもや硬直してしまった。
……バトラー。
それは、国内ではあまり馴染みがないけど、お客様が快適なホテル生活を送れるように身の回りのお世話をし、どんなリクエストにも応える、言わば執事のような存在。
確かにVIPのお客様にはよくある話だけど……。
「君が持つスキルであれば十分可能だとは思うから一応承諾はしたけど、今までにない事例だったから……」
御子柴マネージャーも驚愕の表情を向けながら、顎に手をあてて暫く考え込んでしまった。