3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
どうしましょう。

まさか、あの瀬名さんとお食事に行ける事になるなんて……っ!

つい先程までは、奈落の底に突き落とされたような気分だったけど、そこから羽が生えたように一気に宙へと舞い上がっていく私。

これまで、女子校一貫で男友達なんて居るはずもなく、社会人になっても声を掛けて貰える事なんて全くなかった私にとっては、これが初めての男性とのデートになる。

…………いや、デートだなんてっ!
なんて、おこがましい事をっ!

これはただ同期として私を励まそうとしている瀬名さんの優しさであって、変に期待してはダメなのに。

それは重々承知の上なのだけど、それでも、初めてのことに舞い上がっていく想いはどんどん上昇していき、とどまることを知らない。

この幸せな気持ちが溢れ出してくる今ならきっと、どんな事があっても耐えられそうな気がする。

そう思いながら、私は軽い足取りで研修へと戻ろうとした時だった。


突如鳴り出した業務用の携帯電話。

私は慌ててポケットから取り出し表示画面を見た瞬間、その場で固まってしまった。
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