3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
それから、予定通り九時にお出しする軽食を用意した後、再び3121号室へと向かう。
あのご様子だとおそらく今日は婚約者の方をお連れしてはなさそうなので、私は身構える事なく、言われた通りベルは鳴らさずにマスターキーで部屋の中へと入る。
見ると、リビングには東郷様のお姿はなく、とりあえず運んできた軽食をダイニングテーブルに並べるため食器に手をかけた時だった。
後ろの方で扉が開く音が聞こえ、振り向いた途端、視界に映った光景に私は目が点になってその場で固まる。
たった今お風呂から出たばかりなのか。
視線の先には上半身裸で腰にタオルを巻いただけの状態で出てきた東郷様のお姿が映る。
ただでさえ、男性の裸なんて見慣れないのに、逞しい胸板と濡れた髪には水滴が滴り落ちていて、それが更に色気を醸し出し、直視出来なくなった私は頬を真っ赤に染めながら思わず視線を勢い良く逸らしてしまった。
「……あんたって本当にガキみたいだな」
すると、そんな私の反応を嘲笑うかのように東郷様は鼻で笑うと、呆れた眼差しを向けてこちらを見据えてくる。
再びバカにされた事に対して不快に感じながらも、これ以上の失態を晒さないように、私は気を取り直すため咳払いを一つして黙って会釈をすると、そのまま止めていた作業を進めた。
しかし、これまで油断していた分、動揺する心はどうにも抑える事が出来ず、手に持つ食器が小刻みに震え出す。
「なあ。今まで男の裸って一度も見た事ないのか?」
そんな中、作業に全集中して必死にこの場をやり過ごそうしたのも束の間。
背後から気配を感じた瞬間、こちらを覗き込むように脇から突然東郷様のお顔が至近距離で迫ってきて、私は危うく悲鳴を挙げそうになるのをすんでのところで堪えた。
「……あ、あの……」
お願いですから、一刻も早くこの場から離れて下さいっ!!
……。
…………なんて。
主であるお方にそんな事を言える筈もなく、私はその先に続く言葉が見つからないまま口籠ってしまう。
しかも、あの透き通った綺麗な琥珀色の瞳に捕らえられ、徐々に早くなっていく鼓動に冷や汗までもが流れ始める始末。
「何なら今ここで全部見せてやってもいいんだぜ。あんた俺の身体見るの初めてじゃないだろ?」
「……はいっ!?なななな何をおっしゃっているのですかっ!?」
すると、なかなか返答しない私を面白おかしそうな目で見ていた東郷様のとんだ爆弾発言に、思わず過剰反応してしまった私は、全身真っ赤になりながら声を震わせて思いっきり後ずさってしまった。
あのご様子だとおそらく今日は婚約者の方をお連れしてはなさそうなので、私は身構える事なく、言われた通りベルは鳴らさずにマスターキーで部屋の中へと入る。
見ると、リビングには東郷様のお姿はなく、とりあえず運んできた軽食をダイニングテーブルに並べるため食器に手をかけた時だった。
後ろの方で扉が開く音が聞こえ、振り向いた途端、視界に映った光景に私は目が点になってその場で固まる。
たった今お風呂から出たばかりなのか。
視線の先には上半身裸で腰にタオルを巻いただけの状態で出てきた東郷様のお姿が映る。
ただでさえ、男性の裸なんて見慣れないのに、逞しい胸板と濡れた髪には水滴が滴り落ちていて、それが更に色気を醸し出し、直視出来なくなった私は頬を真っ赤に染めながら思わず視線を勢い良く逸らしてしまった。
「……あんたって本当にガキみたいだな」
すると、そんな私の反応を嘲笑うかのように東郷様は鼻で笑うと、呆れた眼差しを向けてこちらを見据えてくる。
再びバカにされた事に対して不快に感じながらも、これ以上の失態を晒さないように、私は気を取り直すため咳払いを一つして黙って会釈をすると、そのまま止めていた作業を進めた。
しかし、これまで油断していた分、動揺する心はどうにも抑える事が出来ず、手に持つ食器が小刻みに震え出す。
「なあ。今まで男の裸って一度も見た事ないのか?」
そんな中、作業に全集中して必死にこの場をやり過ごそうしたのも束の間。
背後から気配を感じた瞬間、こちらを覗き込むように脇から突然東郷様のお顔が至近距離で迫ってきて、私は危うく悲鳴を挙げそうになるのをすんでのところで堪えた。
「……あ、あの……」
お願いですから、一刻も早くこの場から離れて下さいっ!!
……。
…………なんて。
主であるお方にそんな事を言える筈もなく、私はその先に続く言葉が見つからないまま口籠ってしまう。
しかも、あの透き通った綺麗な琥珀色の瞳に捕らえられ、徐々に早くなっていく鼓動に冷や汗までもが流れ始める始末。
「何なら今ここで全部見せてやってもいいんだぜ。あんた俺の身体見るの初めてじゃないだろ?」
「……はいっ!?なななな何をおっしゃっているのですかっ!?」
すると、なかなか返答しない私を面白おかしそうな目で見ていた東郷様のとんだ爆弾発言に、思わず過剰反応してしまった私は、全身真っ赤になりながら声を震わせて思いっきり後ずさってしまった。