3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
すると、ホテルを出てから直ぐ白鳥様から楓様のスケジュールのお知らせが届き、見ると今日はご自宅に帰るそうなので、ご宿泊は暫く未定とのこと。
楓様のご宿泊がない日は別のお客様の対応があるので、この調子であれば少しの間は安定した勤務時間を送られることに胸を撫で下ろす。
とりあえず、自宅に帰る前に日用品を買い足そうと、私はいつもとは逆方向の道へと進む。
それから、数分も歩かない内に見えてきた、大きく聳え立つ立派な高層ビル。
ここは楓様の職場であり、きっと今もあのビルの中で忙しなく勤務をされているのでしょう。
本当に目と鼻の先にあるので、お金に余裕があるなら、当ホテルは最上級の仮眠室といったところなのでしょうか。
流石は東郷グループの御曹司様というだけあり、一般人には到底真似出来ない贅沢過ぎる事に今でも驚きを隠せない。
私は暫く呆然としながらビルの前で立ち竦んでいると、出入り口の自動ドアから二人のサラリーマン風の男性が出てきて、こちらの方へ歩いて来る。
「東郷様、楓様にお会いしなくていいのですか?」
「あれに会うなんて時間の無駄だ」
特段気にするような事でもなかったけど、すれ違いざまに聞こえてきた二人の会話に、私は思わず勢い良く振り向いてしまった。
見ると、そこにはいかにも重役人のような威厳を醸し出す、三十代前半ぐらいの眼鏡を掛けた男性と、そのお付きの人らしき人物が駐車場の方へと歩いていくのを、私はその場でじっと眺める。
一瞬だったけど確かに聞こえた“東郷様”と“楓様”という単語。
もしかしたら、あの方は楓様のお兄様なのだろうか。
まさかここで東郷家の方に鉢合うなんて、信じられない偶然に私は再び呆然と立ち尽くしてしてしまう。
けど、先程のたった一瞬の会話だけでも分かってしまった楓様との関係性。
兄弟に会うことが時間の無駄だなんて……。
しかも、楓様のことを物みたいに扱う態度に、私は胸が段々と締め付けられていく。
楓様のご宿泊がない日は別のお客様の対応があるので、この調子であれば少しの間は安定した勤務時間を送られることに胸を撫で下ろす。
とりあえず、自宅に帰る前に日用品を買い足そうと、私はいつもとは逆方向の道へと進む。
それから、数分も歩かない内に見えてきた、大きく聳え立つ立派な高層ビル。
ここは楓様の職場であり、きっと今もあのビルの中で忙しなく勤務をされているのでしょう。
本当に目と鼻の先にあるので、お金に余裕があるなら、当ホテルは最上級の仮眠室といったところなのでしょうか。
流石は東郷グループの御曹司様というだけあり、一般人には到底真似出来ない贅沢過ぎる事に今でも驚きを隠せない。
私は暫く呆然としながらビルの前で立ち竦んでいると、出入り口の自動ドアから二人のサラリーマン風の男性が出てきて、こちらの方へ歩いて来る。
「東郷様、楓様にお会いしなくていいのですか?」
「あれに会うなんて時間の無駄だ」
特段気にするような事でもなかったけど、すれ違いざまに聞こえてきた二人の会話に、私は思わず勢い良く振り向いてしまった。
見ると、そこにはいかにも重役人のような威厳を醸し出す、三十代前半ぐらいの眼鏡を掛けた男性と、そのお付きの人らしき人物が駐車場の方へと歩いていくのを、私はその場でじっと眺める。
一瞬だったけど確かに聞こえた“東郷様”と“楓様”という単語。
もしかしたら、あの方は楓様のお兄様なのだろうか。
まさかここで東郷家の方に鉢合うなんて、信じられない偶然に私は再び呆然と立ち尽くしてしてしまう。
けど、先程のたった一瞬の会話だけでも分かってしまった楓様との関係性。
兄弟に会うことが時間の無駄だなんて……。
しかも、楓様のことを物みたいに扱う態度に、私は胸が段々と締め付けられていく。