3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
やはり、一筋縄ではいかない現実を改めて思い知らされた私は、瀬名さんのお陰で上がってきたモチベーションが再び下降をし始めていく。
一体どうやったら信頼関係を築く事が出来るのか。会話を全くしようとしないお客様にここまで深く関わる事が今までなかった為、自分の経験不足に不甲斐なさを感じる。
そうこうしているうちに、楓様は机に広げているノートパソコンを打ち始めたので、一先ず仕事のお邪魔にならないよう、この場を離れる為に立ち上がった時だ。
ふとテーブルの片隅に見えた、自分の名前が書かれた履歴書。
「楓様、これは……?」
住所などの個人情報は黒塗りされているが、資格やら学歴やらは露になっているので、見られたことに恥ずかしさが込み上がり、思わず触れてしまった。
「ああ、専属バトラーとして一応お前のスキルでも確認しとこうと思ってな。別に深い意味はないから気にすんな」
楓様はこちらを一瞥したあと直ぐに視線をパソコンのモニターへと戻すと、何てことない様子で再びキーボードを打ちながらさらりとそう答える。
普通お客様には従業員の情報を開示することはないけど、楓様は東郷グループの人間である為、何だか品定めをされているようで緊張が走った。
一方、例えそうだとしても嫌な気持ちは不思議となく、むしろあの楓様が私に対して意識を向けて下さった事に嬉しさが込み上がってくる。
「もし、私に関して他にも知りたい事がおありでしたら、何でも聞いて下さいね」
信頼関係を築くには先ずはお互いを知る事が一番大事だから。
こんな事を言っても全くの無意味かもしれないけど、それでもその第一歩となるように、私は期待を込めて楓様に笑顔で自分の気持ちを見せた。
一体どうやったら信頼関係を築く事が出来るのか。会話を全くしようとしないお客様にここまで深く関わる事が今までなかった為、自分の経験不足に不甲斐なさを感じる。
そうこうしているうちに、楓様は机に広げているノートパソコンを打ち始めたので、一先ず仕事のお邪魔にならないよう、この場を離れる為に立ち上がった時だ。
ふとテーブルの片隅に見えた、自分の名前が書かれた履歴書。
「楓様、これは……?」
住所などの個人情報は黒塗りされているが、資格やら学歴やらは露になっているので、見られたことに恥ずかしさが込み上がり、思わず触れてしまった。
「ああ、専属バトラーとして一応お前のスキルでも確認しとこうと思ってな。別に深い意味はないから気にすんな」
楓様はこちらを一瞥したあと直ぐに視線をパソコンのモニターへと戻すと、何てことない様子で再びキーボードを打ちながらさらりとそう答える。
普通お客様には従業員の情報を開示することはないけど、楓様は東郷グループの人間である為、何だか品定めをされているようで緊張が走った。
一方、例えそうだとしても嫌な気持ちは不思議となく、むしろあの楓様が私に対して意識を向けて下さった事に嬉しさが込み上がってくる。
「もし、私に関して他にも知りたい事がおありでしたら、何でも聞いて下さいね」
信頼関係を築くには先ずはお互いを知る事が一番大事だから。
こんな事を言っても全くの無意味かもしれないけど、それでもその第一歩となるように、私は期待を込めて楓様に笑顔で自分の気持ちを見せた。