らんらんたるひとびと。~国内旅編~
お城に行くまで、鈴は国王に会うのだとばかり思い込んでいたので。
「大丈夫でしょうか」としきりに鈴はドラモンド侯爵に相談していた。
国王は滅多なことで人前に出ない人で有名なのだ。
ドラモンド侯爵は不安げな鈴を見て笑い飛ばした。
「国王には会えないんだよ」
「え…じゃあ?」
鈴たちを見下ろしているのは、
国王の弟・・・頭脳班の頂点と言うべき方だ。
国王を見た瞬間、鈴は思わず「うえっ!?」と驚いて声を漏らしてしまった。
年齢は40代くらいであろうか。
威厳の溢れる存在は、まさしく王族という雰囲気が出ている。
驚くのは、見た目が海の一族だということだろうか。
褐色の肌は鈴と同じ海の一族と同じ血が流れていることを意味している。
黒い髪に映える金色の王冠。
何より、驚くのは青色の澄んだ瞳だ。
この瞳をどこかで見たことがある…。
鈴は殿下を見て胸が締め付けられる。
「国王代理で申し訳ないね」
厳しそうな見た目とは違って、優しそうな口調で殿下が言った。
「殿下、こちらがわたくしの息子・・・」
ドラモンド侯爵が鈴の本名を述べると。
殿下は「ほう…」と目を細めて鈴を見た。
鈴は殿下と目が合うと身体が硬直したように動けなくなった。
「噂に聞いているけど、良い男だね」
ふふ…と笑う殿下に「ありがとうございます」と鈴はお礼を言う。
「呼び名は鈴にございます」
鈴が緊張しているのを知ってか、ドラモンド侯爵が鈴の自己紹介をすべて殿下に話してくれた。
じっと失礼ながらも、鈴は殿下の顔を眺めるしかなかった。
その間、ドラモンド侯爵と殿下は会話を続けているのだが。
鈴の耳に入ってくることはない。
「ところで、私からお願いがあるんだけど」
「はっ。なんなりと」
ドラモンド侯爵とホムラが頭を下げたのを機に。
鈴は我に返って、頭を下げた。
「私の姪っ子が、是非ともイケメンを拝ませろと言ってきてね。申し訳ないんだが、会ってくれないだろうか」
イケメン…鈴はてっきりドラモンド侯爵のことを言っているのだと思った。
「20歳になる娘なんだかね。私が言うのもなんだけど、美人だよ」
ふふふ…と笑う国王は、まっすぐと鈴を見ている。
「え、私ですか!?」
鈴が驚いていると、隣にいたドラモンド侯爵がすぐさま。
「是非とも、こちらがお願いしたいくらいにございます」
と言って、頭を下げた。
「ありがとう」
上空から殿下の言葉が降ってきて、
鈴とドラモンド侯爵、ホムラは再び頭を下げた。
殿下に姪がいたというのは、初耳だ。
ティルレット王国の王族というのは、一般公開されているメンバーはごくわずかで。
庶民なら王族といえば、国王しか知らないだろう。
国家騎士団や貴族ですら、知っている王族と言えば。
国王、国王の弟の殿下。
国王の息子、殿下の息子の4名だけだ。
姪というと、もしや国王のご子息の結婚相手だろうか。
それとも、公表されていない姪というのがいるのだろうか。
「頭を上げなさい」
女性の声がして、鈴は頭を上げた。
殿下の隣に立っている女性を見て。
鈴は「ぎゃあ、幽霊」と言ってバランスを崩して尻餅をついてしまった。
「大丈夫でしょうか」としきりに鈴はドラモンド侯爵に相談していた。
国王は滅多なことで人前に出ない人で有名なのだ。
ドラモンド侯爵は不安げな鈴を見て笑い飛ばした。
「国王には会えないんだよ」
「え…じゃあ?」
鈴たちを見下ろしているのは、
国王の弟・・・頭脳班の頂点と言うべき方だ。
国王を見た瞬間、鈴は思わず「うえっ!?」と驚いて声を漏らしてしまった。
年齢は40代くらいであろうか。
威厳の溢れる存在は、まさしく王族という雰囲気が出ている。
驚くのは、見た目が海の一族だということだろうか。
褐色の肌は鈴と同じ海の一族と同じ血が流れていることを意味している。
黒い髪に映える金色の王冠。
何より、驚くのは青色の澄んだ瞳だ。
この瞳をどこかで見たことがある…。
鈴は殿下を見て胸が締め付けられる。
「国王代理で申し訳ないね」
厳しそうな見た目とは違って、優しそうな口調で殿下が言った。
「殿下、こちらがわたくしの息子・・・」
ドラモンド侯爵が鈴の本名を述べると。
殿下は「ほう…」と目を細めて鈴を見た。
鈴は殿下と目が合うと身体が硬直したように動けなくなった。
「噂に聞いているけど、良い男だね」
ふふ…と笑う殿下に「ありがとうございます」と鈴はお礼を言う。
「呼び名は鈴にございます」
鈴が緊張しているのを知ってか、ドラモンド侯爵が鈴の自己紹介をすべて殿下に話してくれた。
じっと失礼ながらも、鈴は殿下の顔を眺めるしかなかった。
その間、ドラモンド侯爵と殿下は会話を続けているのだが。
鈴の耳に入ってくることはない。
「ところで、私からお願いがあるんだけど」
「はっ。なんなりと」
ドラモンド侯爵とホムラが頭を下げたのを機に。
鈴は我に返って、頭を下げた。
「私の姪っ子が、是非ともイケメンを拝ませろと言ってきてね。申し訳ないんだが、会ってくれないだろうか」
イケメン…鈴はてっきりドラモンド侯爵のことを言っているのだと思った。
「20歳になる娘なんだかね。私が言うのもなんだけど、美人だよ」
ふふふ…と笑う国王は、まっすぐと鈴を見ている。
「え、私ですか!?」
鈴が驚いていると、隣にいたドラモンド侯爵がすぐさま。
「是非とも、こちらがお願いしたいくらいにございます」
と言って、頭を下げた。
「ありがとう」
上空から殿下の言葉が降ってきて、
鈴とドラモンド侯爵、ホムラは再び頭を下げた。
殿下に姪がいたというのは、初耳だ。
ティルレット王国の王族というのは、一般公開されているメンバーはごくわずかで。
庶民なら王族といえば、国王しか知らないだろう。
国家騎士団や貴族ですら、知っている王族と言えば。
国王、国王の弟の殿下。
国王の息子、殿下の息子の4名だけだ。
姪というと、もしや国王のご子息の結婚相手だろうか。
それとも、公表されていない姪というのがいるのだろうか。
「頭を上げなさい」
女性の声がして、鈴は頭を上げた。
殿下の隣に立っている女性を見て。
鈴は「ぎゃあ、幽霊」と言ってバランスを崩して尻餅をついてしまった。