らんらんたるひとびと。~国内旅編~
全力で叫んでも。
リングに立っているシナモンには届かない。
逃げることもできない。
シナモンはワンピースに手をつけたときだった。
窓から差し込む明かりが急に暗くなっていった。
雨が降るような、ねっとりとした湿気に襲われる。
周りは「どうした」とザワザワとしている。
外の様子を見て、雨が降るのか…と思い、再び前にあるリングを見ると。
シナモンの前に、ホムラさんが立っていた。
ビックリして振り返ると、鈴様がむすーとした表情で立っている。
いつのまにリングに入ったのか。
ホムラさんは「下がってろ」と言って、落ちていたエプロンを拾い上げてシナモンに渡した。
「戦いはもう、終わったんだが?」
呆れたように、キモ男が言った。
背が低く、丸顔でほっそい目に、べっとりとした黒い髪。
ほぼ水着…というような露出の激しい服装の美女の腰を掴んだまま言う態度に吐き気を覚える。
ホムラさんは黙ってる。
「おい、やれ」
キモ男は、ジェイを気絶させた大男に命令した。
どしん、どしんと男が歩くたびに少しだけ地面が揺れる。
ホムラさんと大男が向かい合ったかと思うと。
ホムラさんの身体が宙に浮いて大男の首に蹴りを入れた。
大男がよろけたかと思うと、ホムラさんは正面に立って。
大男の腹部に拳を埋め込むようにパンチした。
次の瞬間には、大男はリングの外で倒れている。
「何が起きた・・・?」
まばたき厳禁という早業の出来事に一同は驚愕した。
ジェイが瞬時に倒されるのと同じくらい、本当に…刹那というべきか。
頭の処理が追いつかないうちに、すぐに状況を理解したのがキモ男で。
「こいつら、全員ひっとらえろー」
という叫び声が響いた。
だが、野郎どもは返事をしなかった。
ポツポツと降りだした雨と乱暴な風が辺りを巻き込んでいる。
代わりに誰かの「ぎゃー」という叫び声に。
次々と「わー」だの「助けてくれえ」という野太い悲鳴が聞こえてくる。
目を開けられないくらいの強風が倉庫に吹き荒れる。
「ミュゼ様、逃げますよ」
目を開けるとシナモンが腕を掴んでいる。
周りにいた男達の姿はなかった。
パーンという銃声が響いた。
「どうなってんの、コレ」
台風かというくらいの強風と雨は立っているのもやっとなくらいだ。
敵の姿がない。
リングには、一人。ホムラさんが立っているだけだ。
「ジェイ、白雪姫。とにかく逃げよう」
リングに立っているシナモンには届かない。
逃げることもできない。
シナモンはワンピースに手をつけたときだった。
窓から差し込む明かりが急に暗くなっていった。
雨が降るような、ねっとりとした湿気に襲われる。
周りは「どうした」とザワザワとしている。
外の様子を見て、雨が降るのか…と思い、再び前にあるリングを見ると。
シナモンの前に、ホムラさんが立っていた。
ビックリして振り返ると、鈴様がむすーとした表情で立っている。
いつのまにリングに入ったのか。
ホムラさんは「下がってろ」と言って、落ちていたエプロンを拾い上げてシナモンに渡した。
「戦いはもう、終わったんだが?」
呆れたように、キモ男が言った。
背が低く、丸顔でほっそい目に、べっとりとした黒い髪。
ほぼ水着…というような露出の激しい服装の美女の腰を掴んだまま言う態度に吐き気を覚える。
ホムラさんは黙ってる。
「おい、やれ」
キモ男は、ジェイを気絶させた大男に命令した。
どしん、どしんと男が歩くたびに少しだけ地面が揺れる。
ホムラさんと大男が向かい合ったかと思うと。
ホムラさんの身体が宙に浮いて大男の首に蹴りを入れた。
大男がよろけたかと思うと、ホムラさんは正面に立って。
大男の腹部に拳を埋め込むようにパンチした。
次の瞬間には、大男はリングの外で倒れている。
「何が起きた・・・?」
まばたき厳禁という早業の出来事に一同は驚愕した。
ジェイが瞬時に倒されるのと同じくらい、本当に…刹那というべきか。
頭の処理が追いつかないうちに、すぐに状況を理解したのがキモ男で。
「こいつら、全員ひっとらえろー」
という叫び声が響いた。
だが、野郎どもは返事をしなかった。
ポツポツと降りだした雨と乱暴な風が辺りを巻き込んでいる。
代わりに誰かの「ぎゃー」という叫び声に。
次々と「わー」だの「助けてくれえ」という野太い悲鳴が聞こえてくる。
目を開けられないくらいの強風が倉庫に吹き荒れる。
「ミュゼ様、逃げますよ」
目を開けるとシナモンが腕を掴んでいる。
周りにいた男達の姿はなかった。
パーンという銃声が響いた。
「どうなってんの、コレ」
台風かというくらいの強風と雨は立っているのもやっとなくらいだ。
敵の姿がない。
リングには、一人。ホムラさんが立っているだけだ。
「ジェイ、白雪姫。とにかく逃げよう」