らんらんたるひとびと。~国内旅編~
任務だよ、全員集合!
ドラモンド侯爵が旅への条件を出した。
まず、旅への移動手段は基本的に足。どうしてもっていうときは、馬車・乗馬はオッケー。ただし、車や汽車に乗るのは禁止。
ドラモンド侯爵が指定した町(村)に行ってその地域の様子を見てくること。
ご当地スイーツを食べて後で報告すること(これは侯爵の私情では…)
スタートするのは北部のドラモンド侯爵家。
そこからドラモンド侯爵が指示をした場所を巡りながら、南部のケリー家を目指す。
これが、一人だったら喜んで引き受けただろうに。
意味不明な今回のミッションにがっくしと肩を落とす。
「こんな楽勝な任務なのに、どうしてミュゼちゃんは落ち込んでるのさー」
前回と同様、私たち一行は汽車に乗って我が物顔で個室に座っている。
「だってさー。なあんで、知りもしない貴族と一緒に旅しなきゃいけないのさー。しかも疑似恋愛って何!? 金持ちの道楽にどうして付き合わなきゃいけないの」
がたんごとん…。
汽車は北部へと吸い込まれていく。
私は、窓の外を眺めていたジェイを見た。
「それに…ジェイはあんまり、この旅は…乗り気でもないでしょうに」
ジェイはこの中で一番、多忙な毎日を送っている。
「ツバキ団長の命令は断れないだろ」
ジェイが頬付けをついた状態で言った。
「いや、でもジェイは肉体班でしょ。頭脳班のナンバー2に言われても断れるんじゃ?」
「いいんじゃねえの。別に今は戦いがあるわけじゃないし。たまには俺も国内の安全を見て回るのも大事だろ」
まったりとした口調でジェイが言うので、「うん…」と黙ってしまう。
横に座っているシナモンはニコニコしているだけだ。
なんで、このメンバーなのか…
私にとっては気楽で有難いけどさ。
「俺が気になるのは、ドラモンド侯爵がはじめから、こうなることを予期してたってことだ」
ジェイの言葉に私と白雪姫は「やっぱり」と言葉を被せた。
ドラモンド侯爵の頭の良さは人間を超えた神様クラスのものだとされる。
先見の明ある…と呟く人もいるけど、気づいた人にはすぐに気づくだろう。
自然にそうなっていく…のではなく故意的に自分の思い通りに物事が進んで行く。
「花嫁選抜大会で、本命以外の他の令嬢の様子を探って。自分の息子と旅をしてくれる女性を探していた」
「下手すりゃ、最初からミュゼが狙われていたってことか?」
急に険しい表情を見せるジェイと白雪姫に「うっ…」と声が漏れる。
「ツバキ団長はそこらへん、なんか言ってたの?」
人懐っこい目で白雪姫が言う。
「なんか・・・ドラモンド侯爵に貸しを1個作ってやるだの何なの…」
「今はわかんねえけど。ドラモンド侯爵は国家騎士団にとっては脅威なのは間違いねえな」
ジェイは両手を揚げて、ぐううと伸ばしてストレッチをし始める。
上層部のことは、わからないけど。
ドラモンド侯爵が要注意人物なのは、国家騎士団の人間ならば、誰でも知っている事実。
侯爵のことを考えれば、考えるほど沼に沈んでいくような不安な感覚がある。
「アスカ侯爵令嬢様は、残念でしたね」
ぼそっとシナモンが言ったので、みんな黙り込んだ。
「わたくしは、あのご令嬢のこと大嫌いでしたが、やはり亡くなったと聞いたときはショックでした」
大嫌い…という言葉に思わず「ぶっ」と笑いそうになった。
「おいらが側にいたら、ぜってー守ったのになあ」
大口を叩く白雪姫にハイハイハイと言った。
まず、旅への移動手段は基本的に足。どうしてもっていうときは、馬車・乗馬はオッケー。ただし、車や汽車に乗るのは禁止。
ドラモンド侯爵が指定した町(村)に行ってその地域の様子を見てくること。
ご当地スイーツを食べて後で報告すること(これは侯爵の私情では…)
スタートするのは北部のドラモンド侯爵家。
そこからドラモンド侯爵が指示をした場所を巡りながら、南部のケリー家を目指す。
これが、一人だったら喜んで引き受けただろうに。
意味不明な今回のミッションにがっくしと肩を落とす。
「こんな楽勝な任務なのに、どうしてミュゼちゃんは落ち込んでるのさー」
前回と同様、私たち一行は汽車に乗って我が物顔で個室に座っている。
「だってさー。なあんで、知りもしない貴族と一緒に旅しなきゃいけないのさー。しかも疑似恋愛って何!? 金持ちの道楽にどうして付き合わなきゃいけないの」
がたんごとん…。
汽車は北部へと吸い込まれていく。
私は、窓の外を眺めていたジェイを見た。
「それに…ジェイはあんまり、この旅は…乗り気でもないでしょうに」
ジェイはこの中で一番、多忙な毎日を送っている。
「ツバキ団長の命令は断れないだろ」
ジェイが頬付けをついた状態で言った。
「いや、でもジェイは肉体班でしょ。頭脳班のナンバー2に言われても断れるんじゃ?」
「いいんじゃねえの。別に今は戦いがあるわけじゃないし。たまには俺も国内の安全を見て回るのも大事だろ」
まったりとした口調でジェイが言うので、「うん…」と黙ってしまう。
横に座っているシナモンはニコニコしているだけだ。
なんで、このメンバーなのか…
私にとっては気楽で有難いけどさ。
「俺が気になるのは、ドラモンド侯爵がはじめから、こうなることを予期してたってことだ」
ジェイの言葉に私と白雪姫は「やっぱり」と言葉を被せた。
ドラモンド侯爵の頭の良さは人間を超えた神様クラスのものだとされる。
先見の明ある…と呟く人もいるけど、気づいた人にはすぐに気づくだろう。
自然にそうなっていく…のではなく故意的に自分の思い通りに物事が進んで行く。
「花嫁選抜大会で、本命以外の他の令嬢の様子を探って。自分の息子と旅をしてくれる女性を探していた」
「下手すりゃ、最初からミュゼが狙われていたってことか?」
急に険しい表情を見せるジェイと白雪姫に「うっ…」と声が漏れる。
「ツバキ団長はそこらへん、なんか言ってたの?」
人懐っこい目で白雪姫が言う。
「なんか・・・ドラモンド侯爵に貸しを1個作ってやるだの何なの…」
「今はわかんねえけど。ドラモンド侯爵は国家騎士団にとっては脅威なのは間違いねえな」
ジェイは両手を揚げて、ぐううと伸ばしてストレッチをし始める。
上層部のことは、わからないけど。
ドラモンド侯爵が要注意人物なのは、国家騎士団の人間ならば、誰でも知っている事実。
侯爵のことを考えれば、考えるほど沼に沈んでいくような不安な感覚がある。
「アスカ侯爵令嬢様は、残念でしたね」
ぼそっとシナモンが言ったので、みんな黙り込んだ。
「わたくしは、あのご令嬢のこと大嫌いでしたが、やはり亡くなったと聞いたときはショックでした」
大嫌い…という言葉に思わず「ぶっ」と笑いそうになった。
「おいらが側にいたら、ぜってー守ったのになあ」
大口を叩く白雪姫にハイハイハイと言った。